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異世界旅道中  作者: あきたこ
ファレル編
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第8話 カーミラの話

カーミラについていくとちょっと高級そうな部屋に通された。


「そこに座って。」


カーミラに勧められるままカーミラの向かいの席に座った。


「あ、ありがとうございます。それで話とは?」


もう手短に済ませたいのでさっさと話を進めてもらう。


「せっかちねー。まあいいわ。それで話というのはね、あなたが本当にベスチッカの軍を皆殺しにしたという報告を受けていたんだけど、本当?」


「あ、あの陰からこっそり見ていたのはあなたの手のものでしたか。でも気配の遮断が甘いですよ。」


実は戦争が始まってからこっそり見ていたやつがいた。敵意や害意がなかったので何もしなかったがカーミラの手のものだったか。


「驚いた。あの子はこの国では一番気配を断つのがうまいのに、あれでも甘いって。」


カーミラが本気で驚いている。何を言っているんだね。あの程度では一般人ならともかく訓練を積んだものならわかるだろう。


(言っておくが転生したことでおぬしの察知能力なども含まて能力が上がっているんじゃよ。)


シランがそう言うがあの程度なら地球のころでもわかったんだが。


「ま、いいわ。それで質問の答えは?」


「ああ。そうでしたね。答えはイエスですね。」


そう答えるとカーミラがため息をつきながらぼやく。


「はー。そう報告を受けてはいたけど、まさか本当だったとはね。」


「それで、話はそれだけですか?」


それだけならもう帰りたいんだけど。


「まあ真偽を聞きたかったのともう一つ。これよ。」


そういって出したのは重みのある袋だ。


「開けてみても?」


「ええ。いいわよ。」


開けてみると白いキラキラした金貨が数十枚。白金貨だった。


「国からの謝礼金よ。白金貨が五十枚あるわ。」


白金貨が五十枚となると、金貨五百枚分か。


「いいんですか?」


エリ王国ともなると結構な大金な気がするが。


「いいのよ。エリ王国は回復薬で結構儲けているしね。」


そういうんだったらありがたくもらっておこう。それに、


「これには口止め料も入っていますよね?」


それならこの額にも納得がいく。


さすがにこんなに謝礼金といっても出さないだろうが、弱みがあるなら話は別だ。


「さあ。どう取っても自由よ。」


まあさすがに明言はしないだろうが、これは肯定とみていいだろうな。


「それとこれ。」


そういってカーミラが取り出したのは大きな木箱だった。


「これは回復薬よ。これも感謝の品の一つね。」


ほうほう。これが回復薬か。中身は青色の液体が入っていた。


異世界の知識に聞いてみると―――シランは魔法でどうにかなるものについての知識はあまりない。よって回復魔法でどうにかなる回復薬についての知識に乏しかった。神なのに世界のことをしっかり把握していないのか。―――これは上級回復薬(ハイポーション)と呼ばれるクオリティに属する物のようだ。回復薬とは、下級回復薬(ローポーション)普通回復薬(ポーション)上級回復薬(ハイポーション)特急回復薬(スペシャルポーション)、という感じでわかれる。当然ながら高級なものになればなるほど効果も上がってくる。上級回復薬(ハイポーション)だと結構な重症も直せるが、部位欠損クラスになると無理といった感じのようだ。


「エリ王国は回復薬の原産地だからこのくらいなら余裕よ。」


カーミラが補足としてそういった。


「ありがとうございました。これももらっておきます。」


(回復魔法があるから別に要らんのではないかの?)


(まあいつか使うかもしれないだろ。)


くれるというものをもらっておいて損はないだろう。


「そう。なら…わかるわよね。」


ジーー


そういう音が聞こえてきそうなくらい見つめてくる。


「わかってますよ。」


口止めのことなら心配いらないというに。


「わかった。それじゃ、もう行っていいわよ。」


カーミラが返っていいといったので回復薬をマジックバックにしまう。


(見せてしまっていいのかの?)


シランが心配そうにそういってくるが、


(彼女はそんな人ではないだろ。それに…)


俺は心の中でにやりと笑って、


(来るならそれはそれで楽しそうじゃないか。)


俺が勝つか、相手が勝つか、この世界の強者がどのくらいかいい指標になりそうだ。


(それもそうじゃの。)


シランも納得したのかあっさり引き下がる。


「それでは。」


「ええ。」


それじゃあ祭りを楽しむか。
















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