第3話 傭兵ギルド
「ふーむ。」
門兵が悩んでいる。シランから聞いて思わず納得した。それは、
「これでお願いできませんかねー。」
そういって金貨を二枚門兵二人に見せる。
「なっ!?」
そう賄賂である。マジックバックに金貨三枚が入っていた。気づかなかったがシランが入れていたらしい。なぜ気づかなかったし。
「そ、そうか。少し待っていろ。」
そういうと二人が我に聞こえないように話し始めた。まあこの体は耳もいいのか丸聞こえなんだが、
「おい。どうするよ。」
「でも賄賂とかダメだろ。」
「でもよー。金貨だぞ―金か。銀貨とかならまだしも金貨なら今日高い酒がのめるじゃねえか。」
「でも―――」
どうやら一人がもう一人の真面目な方を説得しているみたいだな。がんばれ不真面目。
ファレルのお金の価値は、屑貨<銅貨<銀貨<金貨<白金貨<光金貨<星金貨の順に価値が大きくなっている。屑貨がだいたい十円くらいで一つ上がるごとに10倍―――つまり銅貨は百円、銀貨は千円ということ―――になる。物価で言うと地球より低めなので金貨二枚でもかなり高価になる。
しばらく聞いていると結局不真面目がかったようだ。
(けちけちせずに金貨を出して正解だったの。)
(シランのおかげだよ。)
(それはどうもじゃな。)
「それでは通って良し!」
「よし…」
まじめな方はまだ納得いかない感じだったが特に何も言わずに通した。欲望の力は偉大だな。そうしてはいった町―――名前はマットというらしい―――でまず向かうのはギルドである。
(まあおぬしが金を稼ごうと思ったらその戦闘能力を生かさんというてははないからの。)
というシランからのお墨付きももらったので向かう。途中でいろんな人に場所を訪ねながら発見したのは冒険者ギルドだ。だが、
(まさか隣に傭兵ギルドなんてあるとは。)
(おぬし傭兵ギルドなんかに興味があるのかの?)
(ああ。)
異世界の知識に聞いてみると、
傭兵ギルドとはその名の通り戦争において片方の国に一時的に協力して戦う傭兵たちの戦争や報酬の情報などを集めた組織みたいなものであり、基本的に傭兵同士で協力し合うなんてマネはせず、したことは基本的に自己責任でギルドは知らぬ存ぜぬで通す。情報や各国からの報酬を集めただけの組織。
以上が説明だ。………説明を聞いて気が変わった。傭兵になろう。そう思い傭兵ギルドの扉を開ける。
(まあおぬしがそう思うのなら止めはせんわい。)
扉を開けて中に入る。中は混雑している、と思ったがガラガラだった。まあ時間を考えると今はおらんわな。隣の冒険者ギルドは大盛況のようだが。
「どういったご用件でしょう。」
受付嬢さんが営業スマイルを浮かべて聞く。
「傭兵になりたいんですが。」
そういうと受付嬢さんは動揺したような顔をした。
「あなたが、ですか?」
「ああ。ほかに誰かいるのか?」
そういいながらまあ、わかる。何せ15くらいの女の子に見えるのだ。—--シランが顔を見せてくれた。結構かわいかった—--まあ当然だろう。
「そ。そうですか。では手続きを…」
ふむ。もうちょいごねるかとも思ったがすんなりいったな。
(傭兵ギルドは基本的に会員に不干渉だからの……これが冒険者ギルドだともうちょいごねただろうがの。)
つまり自己責任というわけか。そうこうして名前や種族―――人間と書いた―――などを書いて説明を受ける。
「傭兵ギルドは国通しの戦争の時にどちらかの国について戦うギルドです。どちらの国に就くかはそれぞれの自由です。戦争に至った経緯とそれぞれの報酬を説明して決めていただきます。基本的にした行動についてはギルドは一切関与しません。以上です。後これは傭兵カードです。身分を証明してくれるので便利ですよ。」
「わかった。ありがとう。」
「いえ、お気になさらず。」
大方シランに聞いたことと一致していた。それに安心しつつおすすめの宿を聞いてそこで眠るのだった。