とある王国の婚約破棄
よくある婚約破棄ものです。
それは、ある王国のパーティーでのことだった。
「今ここにアメリア・フランシス公爵令嬢との婚約を破棄し、リリア・メイディ男爵令嬢との婚約を発表する!」
そう高らかに告げたのはこの国の皇太子であるヴェルディア・ジェネファス第一王子。
なぜ、彼がアメリアとの婚約を破棄しようとしているのか。
それは、半年ほど前に遡る...
___もともと、皇子とアメリアは幼き日から婚約を決められていて関係も良好だった。しかしそんなある日、リリア・メイディ男爵令嬢が、殿下達の通っている王立学院に転入してきたのだ。
リリア・メイディ男爵令嬢はメイディ男爵が下町の踊り子との間につくった庶子で、今まで下町で暮らしてきたのもあり、言動から行いまで貴族の淑女とは言い難いものだった。だが、そこに興味を持ったのか、国の有力者の息子達はどんどん彼女を囲い始めたのだ。それは、騎士団長の息子や公爵家のご子息、さらには皇太子殿下にまで広がっていった。
それと同時に、彼らの婚約者の方々がリリアをいじめている、という噂が流れはじめた。だんだん彼らと婚約者の方々の仲が険悪なものになっていくのも仕方のないことだろう。しかし、親同士が決めた婚約。簡単には破棄できるはずもない。そして今日、彼らはついに暴挙に出たのでのだ。
「...理由をお聞きしても?」
アメリアは扇で顔を隠しながらも不愉快さを隠そうともしない声で尋ねた。
「そんなこと、決まっている。貴様がリリアに嫉妬し、いじめたからだ!まさか、知らぬと言うわけではあるまいな?」
「私はリリア様ををいじめてなどしておりません。ただ、不用意に婚約者のいる方々と二人きりで話すのはどうかと諫めただけです。」
「嘘をつけ!...あくまでしらをきるつもりか!ならば教えてやろう。貴様と貴様の取り巻きがリリアにした悪行の数々をな!」
語られたのは、ずいぶんと幼稚なものだった。持ち物を隠した、悪口を言ってきた、廊下で足を引っかけられた...
「そして昨日!貴様はリリアを階段から突き落とした‼立派な殺人だ。たまたま私が通りかかったから、大事には至らなかったものの...」
彼は忌々しげにアメリアを睨み付けた。
「私はそのようなことはしておりません。」
「貴様の言うことが信じられると思うか!?衛兵よ、彼女を捕らえて地下牢に連れていけ‼」
「...」
アメリアは、呆れた顔で皇子を見つめる。衛兵はもちろん動かない。
「衛兵よ!何をしている?早くこの者を捕らえよ!」
聞くな堪えなかった私はだんだんと騒がしくなっていく会場を後に、愛しい妻の待つ家に帰った。
その後、婚約破棄されたアメリア・フランシス公爵令嬢は隣国の皇太子に求婚され、めでたく結婚した。結婚式は盛大に執り行われたそうだ。結婚してまだ半年もしないが既に懐妊しているそうだ。
ヴェルディア・ジェネファス元第一王子は王位継承権を剥奪され、辺境の地で愛しのリリア・メイディ元男爵令嬢とラブラブ(笑な新婚生活を送っているそうだ。結婚したばかりだが、離婚の日も近いと噂されている。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
ノリで書いたので変なところあるけど大目に見てやってください。(笑)
気が向いたらアメリア視点とか、王子視点も書くかもです。
追記
色々修正したので、アメリアの性格とかとても変わっています。すみません。誤字,脱字などあれば教えていただけるとありがたいです。