本当のキモチ
これはノクターンノベルズで自分が投稿した俺は怪獣に恋をするを設定を多少変えて通常版に手直ししたものです。
ドドドドド……
その怪獣は大きな足音を立てて迫ってきた。
「太一!!! またゲーム持っていったでしょ!?」
「なんだよ? 別に良いじゃん。お前だって俺のCD持っていってんだし」
「そういう問題じゃなくて!!」
「いまゲームしてるから、そこにあるから勝手に取っていって」
「それが、ゲームを勝手に持ち出したやつのいう言葉か!!」
と太一は頭をグリグリされた。
「痛い、痛い。この暴力ブス!!! だいたいお前も人のこと言えねぇ〜だろ? はぁ〜あこんなんじゃ一生彼氏なんてできねーな」
「余計なお世話よ!!」
「本当のことだろう?」
「たく生意気なんだから!! 私だって言い寄ってくる人はたくさんいるんだからね」
「わかった。そこまで言うのなら勝負しようぜ? どっちが先に付き合うか。勝ったほうは欲しいものを買ってもらえる」
「俺、インテンドウリーがいい」
「なら私はマイポッドね。くれぐれも京子ちゃんに振られないようにね」
と余裕をみせて部屋に戻っていった。
怪獣とは天瀬恵梨。隣に住んでる俺、宮本太一の一つ上の幼なじみである。すぐに手が出る暴力女、こいつのせいで何回家を修理しただろう? 俺の中では悪魔である。
しかしあの日……
「ねぇ? 太一? いいこと教えてあげよっか?」
とゲームをしている俺に恵梨が言ってきた。
「なに?」
「そんなに知りたい?」
ともったいぶるように言う恵梨に
「だから何だよ!!」
とイライラする俺。
「私、彼氏で来たの」
(え……)
その瞬間俺は頭が真っ白になった。
思わずコントローラー落としてしまった。
「信じられないからってそこまで驚かなくてもいいでしょ! いいでしょ? 羨ましいでしょ? ということで勝負は私の勝ち。ちゃんとマイポッドかっ」
「恵梨!! 今すぐ別れてくれ!! そいつと」
「え? なんでよ?」
と当たり前のように聞き返した。
「いいからそいつと別れろっつってんだろ!!」
(俺……何言ってんだろう……)
「なによ!! 結果報告しにきただけなのに。そんなに勝負に負けたの悔しいの?」
と恵梨は俺の部屋を出て行った。
自分でもわけがわからなかった。
いつもなら
「神様? 明日で世界が終わりませんように」
「どういう意味よ?」
「まんまだよ。それぐらいありえないってんの。もしかしてボコッてムリヤリ付き合わせたんじゃねえのか?」
とか言ってからかって終わりだと思っていた。
あの日から恵梨のことばかり考えるようになった
「太一君? 一緒にご飯食べよう?」
とクラスのマドンナ的な存在で俺が想いを寄せる京子に誘われた。
今までは飛び上がるほど嬉しかったはずなのにさほど嬉しいとは思わなくなってきた。
「そうそう太一君に弁当作ってきたんだ〜。食べる?」
「うん……」
と食べる俺。
「どう?」
「おいしいよ」
「ホント? よかったぁ〜。これね? ちょっと焦がしちゃって……」
(恵梨はこんなにうまくできねえな。炭素の塊になるのがオチだ。彼氏にも弁当作ってんのかな? 最近朝早く起きてるもんな〜ってなんでここで恵梨が出て来るんだよ!!)
帰り道
俺が正門を出た先に恵梨と彼氏と思われる人が楽しそうに話している。
あんな笑顔はいままで見たことなかった。俺は負けた気がした……
(なんだよ……!!! この敗北感……)
俺はとっさに走り出した
「あ! 太一」
と恵梨が声をかけても無視して走り抜けた。
(俺なんで逃げてんだ? ただ彼氏と話してただけだろ? ただそれだけなのに……
なんだよ!!! この胸の痛みは……俺、もしかして恵梨のことが!!!?)
と俺は全力疾走で考えていた。
「ちょっと何よ!! せっかく声をかけたのに」
「アレが幼なじみくん?」
「うん」
「最近おかしいのよ。機嫌悪いというか、話かけてもろくに返事もしないし。まだこの間のこと根に持ってるのかな? たく姑かって〜の」
「ねぇ? 変なこと聞くけど? 恵梨ちゃんって幼なじみくんの事好きなの?」
「なんでよ!!」
「だって話題はだいたい幼なじみくんのことだし」
「それは、太一が私に気に障ることするからよ。いわば愚痴よ!! 愚痴」
「それにしては幼なじみくんのこと話す時が一番イキイキしてるように見えるんだけど? 気のせいかな?」
「気のせいよ!! もう」
「なぁ〜恵梨ちゃん? こんなのもうこんな関係やめようよ」
と彼氏が切り出した
「なんでよ? 私豊くんの事大好きだよ」
「嘘は聞きたくない。自分に正直になりな」
「どういう意味?」
「わかってるはずだよ? 君の本当の”キモチ”」
そう言い残して彼氏は去っていった
俺は部屋に閉じこもった
(俺どうしたんだ? 最近? 考えることは全て恵梨のこと……すぐ手が出る暴力女だぞ!!)
「いつまでいじけてのよ!! それでもあんた男なの?」
と恵梨は俺の部屋に乗り込んできた
「そんなんじゃないんだ……」
「ならなんで?」
「なんででもいいだろ!!!」
「やっぱり負けたこと根に持ってんじゃない」
「だからそんなじゃねぇ〜よ!!!」
と俺は立ち上がり恵梨を抱きしめてこう言った。
「恵梨のことが好きなんだよ!!!!」
「えっ!!」
恵梨は驚いてしばらく硬直していた
そんな彼女から離れた。
「恵梨が彼氏ができたって聞いたとき頭が真っ白になって。その時に好きなんだって気付いて。でも付き合い始めたから。今更自分の気持ちを言うわけにも行かず……だからイライラして恵梨に変な態度とって迷惑かけた。ごめんなさい」
「たくホントにバカなんだから」
「なんだと!!! この暴力ブス!!!」
「私ね、フラれちゃったの」
「そりゃ暴力ブスだから」
「何ですって〜!!!」
「べ〜だ?」
とあっかんべ〜をする俺に怒りを堪えて
「彼氏に言われたんだ。自分に正直になれって。私は太一が好き!!大好き!!!好きで好きでたまらないの!!!!」
といって俺にキスをしてくれた。それはとてもやわらかくとろけそうだった。
そして俺たちは見つめあった。
「すっげーかわいい」
「ば〜か、今頃気づいたか」
「何、調子乗ってんだよ!!」
そして俺たちはまた口付けをした
ドドドドド……
その怪獣は大きな足音を立てて迫ってきた。
「太一!!!今度はジーンズ持っていったでしょ!?」
「なんだよ?別に良いじゃん男女兼用なんだし。それに洗濯してあるし。」
「そういう問題じゃなくて!!」
「いまゲームしてるから、そこにあるから勝手に取っていって」
「それが、服を勝手に持ち出したやつのいう言葉か!!」
と俺は頭をグリグリされた。
怪獣とは天瀬恵梨。おれ、宮本太一の隣に住んでる一つ上の幼なじみである。すぐに手が出る暴力女、こいつのせいで何回家を修理しただろう? 俺の中では悪魔である。でも本当は最高の女性……