3 妹よ! まずは俺を救ってくれ!
妹とはぐれた俺は、偶然出会ったメバル(少女)の家に一晩お世話になった。
メバルの両親や村人達は、どこの馬の骨ともわからない俺を、暖かく歓迎してくれて、おまけに丹念に織り込まれた羽織まで用意してくれた。
ここの村人達には、人を疑うという気はないのか。まあ無論、悪さなんてする気はないが、警戒心がなさすぎるぞ……
と、俺がこんなことを思うのも、いささか仕方なしなのだ!
だってよ~~……
聞いてくれ!
そもそも寝落ちすんでまでゲームに没頭して、自宅のベットに潜り込んだはずが、いつの間にやら雲の上にいてよ! でよ、妹パンツ見たぐらいで突き落とされてよ、右も左もわからない世界で気を揉んでよ、疲れるに決まってるよな! 寝てないに等しいんだからよ!
そりゃ~今朝はメバルの母親に起こされるまで、爆睡するわな~~。
「銀さん。そろそろ起きてください」
こうやって優しく声をかけられたよ! まあそこはよし! 問題はその次だよ!
「ほらメバルも起きなさい」
と、こう来たわけだ!
隣を見たら、あわれもない姿で、俺に抱きついてるメバルがいるわけよ! もうほぼ全裸に近いような格好で……ネグリジェとも違う、う~ん何というか見た目はスクール水着。だがしかし! 色々とまずい物が透けるほど薄い生地で……目のやり場に困るというか、ごちそうさまというか……
この地方の寝巻きなのか知らんが、実にけしからんのだよ!
俺が爆睡してる隙に潜り込んできたのだろうが、損をしてる気分になるだろ~いやいや言いたいのはそこじゃなくて……
普通! 自分の愛娘が、ふらりと現れた馬の骨と仲睦まじく添い寝してたら、発狂するってもんだろ?
しかし、この母親ときたら、
「メバルはほんと甘えん坊さんね~」
と、こうだぜ!
俺は『でへへ』て、頭かくしかねえだろ~~。
出会った時は、俺の『なに』見て悲鳴上げてたメバルがよ……矛盾にも程があるぜ!
今はメバル一家と俺との四人で食卓を囲み朝食を頂いてるのだが、その話題すらなく、和気あいあいと、会話が進んでるんだから驚きだ。
突っ込みどころ満載の村だが、住みやすそうな平和な村なのは否めないな。
「そういえば銀さん。しばらくはこの村にいますの?」
こう問いてきたのは、メバルの母親の『フェレ』さんだ。
流石メバルの母親だけあって、こちらも負けず劣らず美人さんだ。
俺のことは銀さんと呼び、人懐こい笑顔が癒やされる。
メバルと同じく金髪碧眼で、背も高く、ファッション雑誌にクネッとポージングして載っててもおかしくないようなスタイル抜群な人妻。
う~~ん! ありだな!
物腰も柔らかで、優しい母親像がにじみ出ている。
メバルも将来こうなるのかもな? しれーっとメバルを見る。
メバルは、ハチミツを口元につけて、ハニートーストを頬張るのに夢中だ。
「妹を探してるんです。はぐれてしまって」
「あらまあ、それは大変ね~~家でよかったらゆっくりしていきなさい。ね? お父さん」
「ああ~銀くんが嫌じゃなければ何日でもいるといいよ」
こう言ってくれるのはメバルの父親の『ヒージ』さんだ。
このヒージさん、失礼だが本当に父親? と疑う程、幼く見える。
淡い茶色の髪がクルリと跳ねて、童顔な顔立ちにより一層幼さを醸し出している。
身長もさほど高くもなくて、美肌でヒゲなど一切なく、俺と同級生と言っても疑われないだろう。
そしてなにより、甘えん坊さんなのだ、先程も、
「ママ~ボタンがはめれないよ~」と、フェレさんに泣きついていたのだから……驚いた。
メバルの甘えん坊はこの父親譲りなのかな?
しれーっとメバルを見る。
メバルは、ハチミツをまだ口元にたっぷりつけたまま、コーンスープを皿ごと持ち上げグビグビと飲み干していた。
全く、なんて家族だよ。おもわず笑みがこぼれてしまうよ。
幸せな家庭ってこんな感じなのかな……はぐれた妹が恋しくなってきた……
「こんなによくしてもらってるのに、嫌なんてそんな。もう少しだけお世話になります」
俺は立ち上がりお辞儀をした。
メバル一家はうんうんと頷いてくれる。そんな優しい時間が過ぎていた。
「ヒージさん! いるかい? 大変だ!」
そんな優しい時間に水を差すように、玄関の引き戸が引かれた。
「あらあらどうしたの? 慌てて」
こんな時でもマイペースなフェレさん。
「とりあえず座るといいよ」
そう言って椅子を用意するヒージさん。
「おはようござい『モグモグ』ます。『ムシャムシャ』」
食べるのをやめないメバル。
「マジックゼロが見つかった!!!」
「なんだって~!!!」ヒージ。
「なんですってぇ~!!!」フェレ。
「ゲホゲホゲホッ」メバル。
「ん? ん? ん?」俺。
「早く来てくれ! 村の連中はもう現場に向かってる」
「わかった、すぐに向かう」
こうして穏やかな朝の風景は一変した……
――――――――――つづく。
メバル一家、めちゃくちゃです。もっと壊せればよかったのですが……文章力が~~ああ~~……
なほきです。今回も読んでくださいましてありがとうございます。
銀次狼も冒険中ですが、わたくしも冒険中なのです……ペコリ。
なので読みにくかったり、ん? と思われる文章が多々あると思います。
そのときは指摘、ご指南を、よろしくおねがいします。