3
「娘のいう事をきちんと聞いていれば、今頃こんな所にいなかったのに…そう思うと悔しくてね…ごめんなさいね、あなたにこんな話をして」
お母さん…、私の胸はジーンと熱くなる。
「あなたね、左利きでしょう、私の娘も左利きでね…カレーライスを食べている姿があの子と重なってしまってね…」
父は少し離れた場所で、うぅ…と泣いている様だった。
翌朝、起きると両親の姿は既になく私は慌てて両親を探した。
「おはようございます」そう言いながら…。
ガラガラ____
玄関が開く音がしたのですぐに玄関まで飛び出てみると、そこには見るにも無残なほどに痩せ細った兄二人がたっていた…。
兄さん…。
「おはようございます、よく眠れましたか」と一番上の兄だった。兄たちも私が妹であることが全く気がついていない様子だった。
「えぇ…っと」
「あ、俺たちはここの両親の息子なんです…すみません何の自己紹介もせずに」
…良かった、本当に良かった、生きていたんだね。
今すぐに駆け寄って私だよ、そうやって今すぐにでも言いたかった。
けれど、今の私は顔も違う…。
「…」何て言ったらいいのか分からなくて…。
「あ、すみません、俺たちは両親が畑仕事に行っているのであなたに朝ご飯を用意してやって欲しいって言うので、それでやって来たんです」
「兄貴…なんか怪しいよその言い方が」
真ん中の兄がちょうどいいタイミングでそうやって言ったものだから、私は全然変わっていない兄たちが嬉しくてクスッと笑ったのだった。
机の上には、沢山の野菜料理が並び、兄たちも一緒に座り「いただきます」と言って食べ始めた。
兄たちが料理をするなんてことは今まで考えられなかったのに、そんな兄二人を見て再会できたことが嬉しい気持ちと複雑な気持ちが混ざり合っていた。
…兄さんはあの女と結婚したのだろうか、子供はいるのだろうか…ずっと気にかかっていた事だった。
「あの…こんなに料理がお上手なんて皆さんご結婚されているんでしょう」
「…いいえ。結婚はしていませんよ…」兄はそう言って暗い顔つきになったのを見て真ん中の兄が「兄貴、味噌汁ねぎ入れるの忘れてるぞ」とそう言って話題を逸らしたのだった。
「うっわ、そうだった、入れようと用意していたって言うのに…」
それ以上その話を聞くようなことはしなかった。




