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こうしてヘブン様と初めて会う事になったのだった。
待ちあわせ場所である海辺の別荘地に予定よりも30分早めに入ると、代表格のおばさんは既に来ており、部屋の掃除やらヘブン様が座るための高級そうな椅子をどこから調達してきてヘブン様の高級感を演出しているようだった。
私は正座でお祈りをしながらヘブン様が到着するのを待った。
そのとき、大きな鈴をならしながら中にヘブン様が入って来たのだ。
「お幸せに~」と言いながらはいってくるヘブン様を正座した状態で上半身は床に伏せて歓迎した。
「よろしい顔をあげよ」その一斉で顔を上げる。
ヘブン様の顔…それは…
やはり、
その人の姿であった。
想像してはいたけれど、実際に知ってしまうと身体が震える程に驚いてしまうのだった。
震え上がる私を見て満足そうな顔をしている。
久しぶりに見た、憎らしいその人の顔…。「このペテン師め!」今にもそう言ってしまいそうになるのをグッと我慢する。
「あなたは幸せですね。だからもうここは必要ないと思いますが、まだやり残す事があるでしょうと神に言われましてね…私には神のお告げが常に降りてくるんです。その神がどうしてもあなたに伝えたいことがあると言うのですが、どうしますか?聞くも聞かないもあなたの自由です」
あなたの自由です…。
これは、自由と言ってきながらその言葉で相手を呪縛する。その人はやはり口がうまいのだ。
「そ…そ…そんな有難いお告げがあるのならば、是非お聞きしたいです。
「お願いします。ありがとうございます」そう言って完全に信じ込んでいるふりをする。
それを見て調子に乗って絶好調なヘブンと名乗るその人は、
「でもあなたは既に幸せですからね。やめておいた方がいいのでは」と言うのだった。
「いいえ、ヘブン様がそう仰るのであれば、私はそれに従うまでの事です。どうか2千万寄付しますので是非、聞かせて頂きたいです」
それを聞いたその人の口元は明らかに緩んだのを感じた。
その顔から「上手くいった計画通り、それ以上だ」と思っているであろうことが手に取るように分るのであった。
「そうか、それほどまでに熱い気持ちがあれば、何事もうまくいくと神は言っていますよ、どんどん続けなさいとね」
そう言い残すとその人はすぐに帰って行ったのだった。




