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一家  作者: 大和香織子
第二章 確信
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11

「海外でもいいぞ、費用はお父さんが持つから」


 そういう父の意図が分からなかったけれど、どうやらその人の妹が関係しているらしいことがなんとなく感じられてきたのだった。


「兄さんの為に…?」


「…そうだ。お前には可哀相だが、兄さんは人生の最高の伴侶となる人に出会ったんだ。だから妹であるお前は応援すべきなんだ。お前が桜さんに言った言葉で桜さんは傷ついて結婚をやめると言いだしたんだ」


…ショックだった。


 お兄さんの為なのは分かるけど…私を遠い所に追いやろうとしていることが悲しい…。


「でも、仕事もあるし…」


「管理職でもあるまいし、お前はどうせ結婚するんだから、今辞めようが、いつ辞めるも同じだろう」


「少し時間をやるから考えなさい」そう言う父を置いて何も言わずに走って店をあとにした…。


              *


「お客さん、お忘れ物ですよ」店員がそういいながら小さな紙袋を渡してきた。


「どうも」そう言って受け取り、店を出た。


娘の忘れ物だろう、後で渡せばいい。


 あの子には可哀相な事ではあるが、これは娘にとっても修業なのだ。


       *


 一人誰もいない部屋に帰り、玄関に入ると倒れるようにしてその場に泣き崩れた。


実の娘よりも、あんなに怪しい人達の方が大切なのだろうか…そう思うと悔しくて堪らなかった。


 もう疲れた…。


 …いくら怪しい人達だと言っても、

私の気持ち以外には何の被害もあるわけでもないし、それに兄が幸せを感じるならそれでいい…のだろう…。



私さえ、私さえいなくなれば…そうすれば…皆幸せになれるんだ。

 

 翌日、会社に行き退職願を出して、会社を辞めた。


 同僚たちは突然の事で驚いていた。


 不動産会社にも行き「部屋を出ます」と連絡した。


「前払いなので、今月中には出てください、そうすれば、来月分は発生しませんから」そう教えてくれた。


 部屋に大きな荷物は特になかったが、段ボール箱6箱分の荷物が出たが、別にどうしても要る物ではないので、処分するようにして、大きめのキャリアカーに入る分だけの荷物を持って新幹線に乗り込んだ。

 

 新幹線の扉が閉まると、駅の看板を見て「さようなら」と言う…。



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