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駄目だわ、兄に言っても意味がない。
実家の近くの公園でその人の妹が来るのを待ち伏せした。
公園に来て一時間が経った頃、その人の妹らしき人物が公園のベンチから見えたのだった。
目を凝らしてもう一度よく見てみる。
やっぱりそうだ。
読んでいた本を閉じ鞄に入れ直ぐにその女の元に駆け寄った。
「あの~」
「はい、あ、こんばんは」私だと言う事に顔を見てすぐに気が付いた様だった。
「こんばんは。あの、単刀直入に言うのですが、兄と結婚するのはやめてもらえませんか」
「は…?あんた何言ってんの?無理に決まってんじゃん」兄と居る時にはおしとやかそうだったのに、全然違う話し方に驚きながら「あなたには、もっといい人がいますから」私はそうやって言った。
「何なの?ブラコンのわけ?だっせー。絶対別れないから」そう言うとその女は実家の方にスタスタと歩いて行ってしまった。
*
みんなで鍋を取り囲んで、食べ始めた時に、
「さっき、妹さんがいらっしゃって結婚するのやめてくれって、そう言われたんです~ぅ。私そんなに悪い子ちゃんですか~ぁ…?」桜はそう言って泣き始めた。
「それは本当?」薫さんの表情が強張る。
「あいつは、ほんとに…」俺は余計な事をしやがってと妹の事を殴りたくなった。
「ごめんなさいねぇ、昔はそんな子じゃなかったんだけど、最近気難しい子になってしまってね。悪気はないのよ、気にしないでちょうだい」
「でも…私やっぱり結婚できません。妹さんが来るたびに思い出しますしぃ…桜怖くって」
「うん、そこまでして結婚しない方がいいよ」
薫さんまでもそう言いだした。
焦った俺は、親父に相談した。
「桜と結婚できないどころか、もし結婚出来なかったとしたら薫さんまでこの家から出ることになるだろう」そう言って。
薫さんがこの家から離れてしまう事に恐れを感じた親父は「分かった何とかする」と返事をしたのだった。
*
夜七時に駅前の「ココロ」に来て欲しいと父が言うので、私は仕事を終えて、可愛いタイピンを見つけたので、それを買い
「ココロ」に向かった。
「ココロ」に入ると、父が、ここだと言う感じで手を上げて合図をした。店員の案内を振り切り父の目の前に座った。
「お前、地方で働く気がないか」と私が座るなり父はそうやって言ってきたのだった。
「地方?地方ってなんで…また」




