やっぱり自業自得だし
気がつくとジャックはポツリポツリと問わず語りのように見たままのことを話していた。
ボルト准尉は眉を寄せてポリポリとこめかみを人差し指でこすっている。
それは考え込む時の彼の癖だと付き合いの長いジャックは何となく覚えていた。
「なんかいろいろとはまってきたな」
ポロっとこぼれた言葉にジャックは思わず顔をあげてボルト准尉を見つめた。
「つうかそんな熱い眼で見つめるなよ、男にそんな目で見られても嬉しくもなんともないんだよ」
そう言うとこきこきと身体の関節を鳴らしながら柔軟運動を始めた。
なんだか軍人にあるまじき身体の硬さだ。
「おかしいと思ったのはな、ミュゲってお嬢さんが魔道士の国家資格を持っていたってことだ」
「レイシック卿のご息女なら持っていても不自然じゃないだろ」
「おかしいんだよ、そんな資格持ちのお嬢さんなら、サンダース大佐の屈辱的な扱いに黙って耐える必要はないだろう」
サンダース大佐の言い草にはいつもムカついていたが、おそらくミュゲに対してもつらく当たっていたのだろう。
「金を稼げる資格があるならとっとと逃げちまえばいいんだよ、サンダース大佐の金に頼る必要なんかないんだから」
ジャックの月給の三倍稼げる。と以前聞いた。
ジャックの給料はそれほど安くない。同年代の男の1.5倍ぐらいは稼いでいる自覚がある。
何といっても軍人だ。多額の危険手当をもらっているのだ。
その三倍なら、相当な高給取りと言えるだろう。
弟も余裕で養える。
「逃げないから、無能な女だとサンダース大佐を勘違いさせたままだ」
「勘違いさせたまま?」
「オルタンシャって娘が証拠写真って言ったんだって?」
「ああ、そういうようなことを、カメラも持ってたし」
「おそらく、前々からそういう活動をしてたんだろうな」
ボルト准尉の眉はいまだに寄ったままだ。
「活動って」
「大佐のスキャンダル集めだよ、適当なところでぶちまけて、悲劇の妻だ虐待されていたって騒ぐつもりなんだ」
「ああ、そんな感じだった、でも何のために?」
「レイシック卿のオイタのせいで、こういう事態になったんだろ、そこでダンダルジャン卿の息子のスキャンダルで相殺を狙ったか」
「つまり、軍と魔道庁のパワーコントロールとか?」
「可能性の一つだがな」
そこでふと思い出したことを呟いてみた。
「カーター少尉に報告するか?」
「やめとこう、完全に息の根を止めることになる」
「サンダース大佐に報告は?」
「自業自得だ、ほっとこうぜ」
ジャックはこっくりと頷いた。
どら息子の指を止めていた針金は取った。しかしロープは軽く緩めてやっただけだ。
「私達、慎重なの」
少女達はそれはそれは愛らしくそう宣言した。
「じゃ、おやすみなさい、もともと貴方が個人的に使用している部屋でしょう、着替えぐらい置いてあるわよねえ」
栗色の髪の少女は柔らかな微笑みを浮かべて、そう言い放つ。
少女達の姿が消えた後、彼は必死にロープを振りほどこうともがき続けた。
くすくすと少女達が笑いさざめく。
「それにしても、あの顔、傑作」
「そうよね、ワンダーエフさん紳士なのに」
「この場合淑女って言ってあげたら」
「結局自分を基準に考えちゃんだね」
きゃははは、と朗らかな笑い声が響いていた。
股間にゾウさんのいるフレアスカートはミッツマングローブさんがマジで絶賛してました。




