バトルロワイヤル初日
日本。繰儀市。
主にバブル時代に作られた人工列島で、およそ千葉の三分の一を占める程の大規模で、列島内では学園及び都市が建設されているが、バブル崩壊時と同時期で建設中止となっ
た夢の楽園、と、自分の頭の中ではそう語られている。
どうやら記憶の無い自分でも、知識として記憶されている繰儀市と言う地名は余程有名なところらしい。
自分自身も顔からして東洋人らしいのでそのくらいの事は覚えていたのか、はたまた神様が与えた知識なのか、少しばかり疑問点が残る。
しかし、まあ何をどうすればこんな所に来てしまうのか………。
"諸君、夕闇の時間は過ぎ、新たなる太陽が昇る"
と、神様の声だ、しかしまあ、連れてきた張本人がノリノリとはどう言うことなんですかね?
"選ばれた七十人の諸君は、これより最後の一人になるまで争ってもらう"
………え?
ちょっとまって七十人? 七人じゃなくて七十人?
七つの大罪同士が戦うって事は、つまりは七人が戦うって事じゃ無いんですか?
「色欲十人、強欲十人、傲慢十人、憤怒十人、嫉妬十人、怠惰十人、暴食十人。ほらぁ、ちゃんと七十人いるわぁ」
本当だ嬉しくない!!
……まあ、何にしても、このバトルロワイヤルは一筋縄ではいかないらしい。
"時刻は無し、永久の戦いでも良し、刹那の戦いでも良し、諸君らに意味のある戦いをしてくれ"
"では諸君、健闘を祈るぞ?"
ブツン、とアナログテレビを消したような音がして、少しばかりの沈黙が訪れる。
まだ実感していないが、もうバトルロワイヤルは始まっているんだな、と少しばかり恐縮する。
「さて、とぉ。ご主人様ぁ、どういたしますぅ? 戦いますかぁ? それとも、逃げますかぁ?」
無論、戦うしか他無い、しかし今は場所が悪い。
広場の子供用の滑り台で殺された、となれば恥にもなりはしないだろう。
「賛成よぉご・しゅ・じ・ん・さ・ま♪」
えぇい!!やたら音符を使うな淫らな狼耳美少女!!
……取りあえずは、見晴らしの良い場所、そうだな………、高層ビルの屋上、はどうだろうか?
「うーん、いいけどぉ………ご主人様が言うなら行きましょお」
彼女の納得の行かない様な顔が疑問に残るが、特に追求せずに、自分は一番高い高層ビルに目指す。
一番見晴らしが良くて高い高層ビル、そこは【松嶋ホテル】と言う三十階建の高級ホテルだった。
確かに見晴らしがいいほどまでに展開されている屋上に、客人を持て成すための巨大な自動ドア。
…………その周りに、嫌と言うほどの自分と同じ参加者が居る事に付いて、追求はしたくは無い。
「やっぱりぃ………そりゃ敵情視察するには高い所とか選ぶわよねぇ………」
あ、そうか、自分以外にも、高いところに行けば何か分かるかもしれないって思うように、他の人も、そう思う可能性もあるのだ。
しかも今回は人数が多い為に、今こうして顔合わせになる可能性もあったのだ。
実際に今は起きているし、これは失敗だったのか?
「どうしますかぁ、ご主人様ぁ?」
………無論決まっている。
自分が出すべき答えは………。