4:秘書♀×教師♂(後編)
それから私は、会社から呼び出しがかかり カンナを見つけ戻るようにいい学校から出た。
社長が、会社に戻ってきたのは、18時近かった。
「変わったことは?」
戻ったとたん 仕事モード
さすがです、社長。
「特には、先ほどの会議の資料をまとめろと専務から賜りましたので確認をお願いいます。」
会社からの呼び出しは、このことだった。
正直、児玉さんと顔を合わせずらかったので助かった。
「じゃ今日は もういいぞ」
私の会社の定時は18時
しかし、定時に帰ったことなど一度もなかった。
「どうされたんですか?」
特に、今日のように社長が外に出ていたときは
「カンナの担任と知り合いなのか?」
きっと聞かれるだろうなと予感はしていた。
この人との付き合いは長い。
最後のほう、彼に対する態度が素だったことに気が付いたのだろう。
「私の隣人ですが、何か問題でも?」
サラリッと言った。
ちなみに社長は、私が隣人を好きなことは知っていたりする。
「帰って、説明してやれ。」
は?
社長の言葉の意味がわかりません。
「カンナの奴が、お前のこと母親のように思っているのは知っていたが、俺とくっつけさせようとしているのは知らなかった。」
何が言いたいのだろうか?
「カンナの奴、お前と先生が知り合いなの知らないだろ?」
私は、コクンッと頷いた。
「先生にママになってほしい宣言をしていたぞ?」
・・・ありえない。
「あれほど智さんには、好きな人がいるって言っていたのに・・・」
はぁーと大きなため息をつく私
そう、社長にはずっと思いを寄せている女性がいる。
私も誰なのかは知らないが、カンナにはそのことを伝えている。
「誰かを言っていないからだろう。一度、聞かれカンナの知っている人とはいったが・・・」
そりゃー一番に私が思いつくでしょうね。
なんたって、秘書だもの・・・
「私の知っている人?」
私の問いに首を横に振る
「そう。カンナの誤解といていてね。私は、彼の誤解を解きに行かなきゃ・・・」
気持ちが重たいとは、このことか・・・
はやる気持ちで家へ向かった。
マンションに着くなり、そのまま児玉さんの部屋のチャイムを鳴らした。
が、出てこない。
時計の針は。19時近くになっていた。
まだ仕事かしら?
「早く帰ってきなさいよ」
と、玄関のドアを軽く蹴った。
「人様の家に何しているの?」
開くはずのない私の部屋のドアが開き中から人がでてきた。
「花梨、なんでいるの?」
私はびっくりし、自分の部屋に向かった。
「メールしたでしょう?小百合さん・・・雅の彼女のドレスを回収しに来るって」
はぁーとため息をつく妹
私は、急いで携帯を開いた。
本当だ。
雅から、花梨に渡してとメールが来ていた。
「隣の人なら、さっき帰ってきてすぐに出かけてたわよ。」
携帯から妹に視線を移した。
「そう・・・・」
出かけたのなら、今日はもう会えないな。
明日の朝 ジョギング帰りの彼を捕まえよう。
そう決心した。
「なに?彼が桜華ちゃんの好きな人?」
ニヤニヤと子悪魔的な笑顔
私はあえてなにも答えずに部屋の中に入ろうとした。
「桜華ちゃん。」
後ろで、花梨が叫んでいたが 無視した。
「ちょっと桜華ちゃんってば!!」
無視されたのが気にくわないのか再度叫んだ。
「何よ!!人をからかって楽しいの!?」
一度 部屋に入ったが、すぐにドレスを持って玄関に戻った。
「あっ・・・」
玄関に行くとソコには 妹じゃない人が立っていた。
「ごめんなさい。妹がさっきまでいたから・・・」
私は、慌てて口をふさいだ。
「いや、こっちこそ いきなりゴメン。妹さんが入ってくれって言われて・・・」
そう言いつつも、身体は帰ろうと後退していた。
「まって、あの折角だからあがっていって。」
私は彼を招きいれ、エレベーターの前で待っている妹にドレスを渡した。
「よくもやってくれたわね。」
そう言い。
「無視する桜華ちゃんが悪い。じゃね。結果だけは教えてね♪」
なぜかご機嫌で帰って行った。
さて、なにか食べる物 あったかしら
と、部屋に戻った。
「児玉さん、夕食まだですか?」
部屋に戻り、リビングに彼がいることを確認し言った。
「まだですが・・・あの、俺 帰ります。」
そう言うと思っていた。
リビングにいるが座らずに立ったままだった彼
「じゃ、帰る前にお話聞いてもらえますか?」
私は、お茶を用意しリビングに戻った。
「掛けてください。社長に聞きました。カンナが私と社長の結婚を望んでいるということをあなたに言ったって。」
お茶を出され、仕方なく座った彼
私の言葉に、少しだけ反応した。
「私も社長・・・智さんも、そのつもりはありません。これからも雇用関係を保ちつつ友人関係も続けていくと思いましが・・・智さんには、好きな人がいます。それは、私ではありません。それに、私にも好きな人がいます。それは、智さんではありません。」
息継ぎもせずに、だぁー言った。
そして、一呼吸 置き
「私が好きなのは、あなたです。」
どう思われたっていい。
でも、誤解だけはされたくなかった。
どうなりと必然的に 自分の気持ちも伝えないと意味がないこともわかっていた。
だから 私は、昼間自然に、彼に告白しようとしていたのだと思う。
しーんとなっていた。
私は、怖くて目を瞑っていた。
でも、彼からの反応がなくてそーっと目を開けた。
そこで、私が目にしたのは・・・
「わっ・・・たんま見ないでください!!」
自分の顔を隠し、真っ赤になっている彼。
「辛川さん、反則です・・・」
そう言い、出したお茶を一気に流し込み 落ち着いてから再度 口を開いた。
「えっと・・・昼間は、変な態度をとってすみませんでした。」
いきなり謝罪してきた彼
変なことって・・・恋人がいるっていったことかな?
「・・・あれは、単なる俺のやきもちです。あのドレス姿の辛川さんがすっごく綺麗で・・・西村さんが うらやましかっただけです。いつから 隣人としてじゃなく一人の女性としてみていたかはわかりません。気が付いたら、すっごく気になっていました。俺と付き合ってください。」
顔は まだ真っ赤のままだった。
でも表情はとても真剣で・・・
私は、声にならずに首を何度も縦に振っていた。
席を立った彼は、そっと私の傍に来て抱きしめてくれた。