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2:タレント♀×大学生♂

まさか私が恋におちるなんて


まさか私が名前もわからない人を好きになるなんて


まさか私が年下を好きになるなんて


まさか私が一目惚れするなんて


田口 小百合 27歳

職業:タレント

《明るくて自信に満ちあふれているちょっとわがままななキャラ》として、バラエティーやドラマにも出ている。

人気は・・・まぁまぁ売れていると自分では思う。

タレント業は、嫌いではない。

私の行きつけの美容院の近くにあるコーヒーショップ

私は、仕事で時間が空けば、そこにいっている。

ひとりの男性を目当てに・・・


「忘れ物ですよ。」

初めて彼が話した言葉

あの日、偶然お店にはいった。

つい時間を忘れていて急いで仕事に向かおうとタクシーに乗ろうとした時、声をかけてきた彼

忘れたのは手帳。

スケジュールやいろんな人の携帯などを書いてあるいわゆる個人情報だ。

持ってきてくれた彼にお礼を言おうと、顔を上げると・・・

決してずば抜けてかっこいいわけじゃない。普通にかっこいいのだろうけど

でも私がひかれたのは目だ。

少し茶色のかかっている瞳


それからと言うもの、私はいけるときは毎日行くようになった。

彼の名は、立川 雅というらしい。

名字は名札から名前は彼のかわいい彼女が呼んでいたから・・・

失恋決定

でも私は諦めきれずに相変らずココに来ている。

まだまともに話したこともないくせに・・・

テレビじゃ、こんな時 容赦なく話し掛けるんだと思う。

でも本当の自分は積極的にはほど遠いくらい消極的で自信なんてまったくない平凡な女


そんな私にチャンスが訪れた。

いつもの様に店でオーダーしていると

「いつも利用してくれてありがとうございます。テレビに出ている方なんですね。」

彼からの言葉にびっくりした。

私のことを知らなかったことではなく、ココに来ている私を覚えていてくるたから。

「あっ、ごめんなさい。普通に考えて声かけられたらいやですよね。いつものでいいですか?」

私が黙っていて勘違いしたようだ。

「いやじゃないです。いつも来ているのを知っててくれたからびっくりしただけです。」

私は慌てていった。

そして気が付いた自分が今とんでもなく恥ずかしいことをいったことに・・・

恥ずかしいが彼の顔を見てみた。

ちょっと固まっている様子

やっちゃったよ・・・泣きそうな気分。

「プッ」

下を向いてしょんぼりしていると誰かが吹き出した。

誰というか、目の前の人が・・・

「あんたって本当はそーゆー人なんだ。テレビと全然違うな」

笑いながら言う彼

あっ、わらった顔可愛い・・・って違うしっ

やっぱり男はテレビ版の私のほうがお好みなのかな・・・

「あっ、ごめん。つい 可愛くて・・・今日は時間ある?俺もう終わりなんだけどよかったら少し話さない?」

彼からの意外な誘いにびっくり

オーダーをして彼を待つ。

少ししてから、コーヒーを2つ持ってきた私服姿の彼

かっこいい・・・

「あっ、俺、立川 雅っていいます。」

ニッコリ微笑み、向かい側に座る

「田口 小百合です。」

少し考えてから、テレビ版の私で言った。

「俺、さっきの小百合さんの方が好きだから、無理に明るくしないで。」

彼は、私にデコピンしながら言った。

「いたっ!」

予想もしていなかった彼の行動に、素で痛がってしまった。

なんで、彼は私が無理してるってわかったのだろうか

でも、そのことは聞き流すことにした。

彼に関わりすぎるとあとで自分がつらいから

好きな人と話をしていると本当に時間が経つのが早いんだ・・・

名残惜しいが、このあと美容院の予約がある。

彼はまたきてくださいね。

と言ってくれた。


 美容院は、ココから歩いていける。

なんでこんないい気分の時に水を差されるのだろう。

目の前に、ひとりの女性がいた。

水を差すことのできるナンバーワンの女性が・・・

彼の彼女だ。

・・・なんで豪と?

豪は今から行く美容院の担当

彼女もそうなのかな?

でも今、店から出てきたってことは一緒にご飯でもしていたんだと思う。

豪は人気があり予約はいっぱいでお客さんと個人的に仲良くなるなんてことはない。

店長が収集がつかなくなる前にそうしたのだ。

いろいろ脳裏で巡らせていると衝撃的なことが起きた。

店の手前で豪は腰を屈め彼女の視線に合わせた。

その瞬間、軽く触れ合えるくらいの短いキス

彼女は顔を赤らめすぐに下を向いた。

それを見て豪は満足そうに私達に見せる笑顔とは違う笑顔で微笑む。

この二人は恋人同士・・・

誰が見てもきっとわかる。

でも彼とも付き合っている?

本当は違うかもしれない。

私が勝手にそう思っているだけかもしれない。

でも、彼は彼女を大切にしている。

それも誰が見たってわかる。

彼には聞けない。

もし彼女だったら彼は傷つく。

そんな彼を見たくない。

違う。

ただ、私が聞くのが怖いだけだ。

私はとても弱虫なのだ。


 「田口さま、どうかなされましたか?」

はっと顔を上げると営業スマイル満開の豪がいた。

「豪が一体どこであんなかわいい彼女を見つけたんだろう。と思って?」

おもいっきりいやみを込めてニッコリと微笑む。

「あーぁ、見ていたんですか、かわいいでしょ?駅前でナンパしたんですよ。」

営業スマイルでさらりと返されてしまった。

ナンパって・・・

「勘違いしないでくださいね。カットモデルをお願いしただけですから」

なるほどね。

と思いつつも、私の脳裏には彼のことしかなかった。


 「いらっしゃいませ」

店内を見渡しても彼はいなかった。

あの日から、私は映画出演のため多忙だった。

ココにくるのは2ヵ月ぶり・・・

通い始めて、一週間以上こなかったのは初めてだ。

はぁ~

コーヒーを受け取り席に着いたとたんため息が出てきた。

久しぶりに彼を見て疲れを吹き飛ばそうと思ったのに・・・

彼がいないならココに長居する必要はない。

さっさと帰って寝よう。

そう思い席を立って店を出た。

タクシーを停めようと手を挙げた瞬間だった。

タクシーは、目の前でスピードを下げたものの素通りしていった。

それは挙げたはずの手を誰かがひっぱったからだ。

その勢いで、反対側に持っていたコーヒーを落としてしまった。

そんなことより私は、目の前で息をきらしている人物に釘付けになった。


 「ちょっと雅いきなり走りださないでよ。」

その後ろから同じように息をきらしている女性

「なんでずっと来なかった?」

彼は、後ろの彼女を無視して言った。

「映画の撮影で九州に行ってたから」

なぜそんなことを聞かれたのかわからないまま答える。

私の答えを聞いて彼は目の前に座り込んだ。

私の手をもったまま

「こんばんわ。」

そんな彼に驚きあたふたしていると彼女と目が合いあいさつしてきた。

「これ、このバカに落ち着いたら渡してください。」

彼女が差し出したのはバイクのメットとキー

私は彼女から受け取り、正面から真っすぐに見る。

「私は、雅の幼なじみ。」

だから気にしちゃだめと言っているように思えた。

「雅 送ってもらってなんだけど、これ以上あんたに付き合うと元町さんの仕事が終わっちゃうから行くよ。雅のことお願いしますね。」

そういい彼女は走り去っていった。


 「えっと、立川くん?」

初めて彼を声に出して呼んだ。

私の声に反応しゆっくり顔をあげた彼

「俺のこと怒ってる?」

私は首を左右に振った。

なぜ彼はそう思ったのだろう。

でもすぐに理解した。

私があれから行けなかったからだ。

「あの時、かなり失礼なこといったから嫌われたと思ってた。」

そんなことない。

そう思っているのに声が出ない。

彼はやっと立ち上がり私に目線を合わるために屈んだ。

「怒ってない?」

目の前に彼の顔がある。

私は相変らず言葉が出ない。

だから縦に首を振った。

「嫌ってない?」

彼は立て続けに聞いてきた。

やっぱり頷くだけの私。

首がちぎれるんじゃないかと思うほど

「じゃぁ、俺のこと好き?」

さっきと同じように頷く・・・

今、彼なんて言った?

そして私は頷いた?

「プッ顔真っ赤だし」

目の前ではにかむような笑顔をしている彼

「わ・・たし、今・・・」

心臓がバクバクしている。

「俺、年下だけどいいの?」

私から目を逸らさず真っすぐに見る。

「立川くんこそ、私・・・年上だよ?」

私の問いになぜか満足しきった表情

「小百合さんならどっちでもいい。俺の前では、TVみたいに無理しないでね。」

ぎゅっと私を抱きしめてくれる彼

私は誰かに見つけてほしかったのかも知れない。

本当の自分を・・・


Fin

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