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9:社会人♀×社会人♂(後編)

「遅いっ!」

やっと思いで部屋の前までやってきて鍵を差し込もうとすると中からいきなり扉が開いた。

開いたと同時に、中から出てきた人物が私に気づくと叫んだ。

「・・し・のぐ?」

いるはずのない彼がいきなり、しかも自分の部屋から現れ自分でも恥ずかしいくらいすっとぼけた声が出た。

「プッ・・なんだよ、その声。」

目の前で腹をかかえて笑いまくる彼一体、何が起きているのだろう・・・そんな感じで固まってる私

「夏椰?」

まったく反応のない私に近づいてきた。

彼の言葉にはっ・・と我に返った。

そして。目の前の彼を見てコート腕にかけ車のキー手に持っていることに気がついた。

「・・どこかに出かけるんじゃなかったの?」

って・・・なんで私の部屋にいるわけ?

「お前が遅いから迎えに行こうかと思ってな。」

何事もなかったように、いつものようにはにかむように微笑む。

「・・・振られたの?」

恋人のところにいるはずだった、彼・・・巡り巡ってたどり着いた言葉だった。

「はっ?何言ってんだ?お前に振られた覚えないけど?」

意味がわからないと、苦笑いをしながら言った彼

「そっちこそ何言ってんのよ。私が振った?振られたの間違いじゃ・・・・」

凌が言ったことをもう一度頭の中で整理した。お前に振られた覚えはない・・・私???

「どういうこと?」

「いや、こっちが聞きたいし・・何を言ってんだ?具合でも悪いのか?

とりあえず、中に入ろう。」

首をかしげながらも優しく私に手を伸ばし部屋の中へと促した。

「さて、いったい夏椰の中では何が起きているか教えてもらえるか?ってか、教えろ。」

凌は部屋まで行くことなく本当に中に入っただけ・・・玄関で話を聞こうとした。凌の言葉に何を言えばいいのかわからず黙ったままいる私

「昨日まで普通だったよな?」

何気に昨夜も一緒にいた私たち。

「昨日、飯食って俺が帰るまでは普通だった。

そっから何かあったのか?」

凌は一人で考えていた。きっと私が口を開くのを待っているのだ。

「今夜、デートだったんじゃないの?」

何から言えばいいのかわからなくなり、ひとまず目下の疑問をぶつけてみた。

「はい?」私から出た言葉は彼にとって思いがけない言葉だったようであっけにとられていた。

「・・・誰とのデートだ?」

しかし、彼はそこから情報を得ようと試みたようだ。

「誰って・・・知らないわよ。あなたの恋人でしょう?」

彼の切り返しにむっときた私は吐き捨てるように言った。

「お前の知っての通り、いま俺に恋人はいない。今のところはな。」

彼はきっぱりと言い切った。

語尾になにか言っていたが彼の言葉に安堵した私の耳には入らなかった。

「・・そ・・うなんだ。ごめん、何か勘違いしてた見たい・・・まってよ、だtったら今日何を買っていたの?」

百貨店での彼を思い出し叫んだ。

「そうよ、だってあれは恋人用でしょう?どう見ても・・・あれは・・・」

私の叫びにおぼろ木の表情を見せた彼

しかし、すぐにいつもの表情に戻った。

そして、何かを勘づいたのかニヤッとほくそ笑んだ。「あれはなんだ?」

続きを言いたくなかった。

ただでさえ、目の前の光景を受け入れることが出来ずにいるのだから。

「夏椰?」

そんな私の心情を知ってかわからないが、彼は私の続きを促すように名前を言った。

「・・・ゆ・・・」

「ゆ?」

私の言葉を楽しそうにオウム返しする彼

「楽しそうに指輪を選んでたじゃない!!」もうどうにでもなれ。

さっさと彼を帰して、今夜は泣いて過ごそう。

そうたかをくくった私は凌に向かって叫んだ。

必死に涙をこらえながら・・・

「よく言えました。ほら、ご褒美」

ポンッと彼によって開かれた掌ののせられた小さな箱

「なに、コレ?」

彼の行動で、溢れ出そうな涙が一瞬でひいた。「なにって、見てたんなら中身わかるだろう?」

ほら、さっさと開けろ。そう言わんばかりに彼は腕を組んで目の前に立ちはだかっていた。

まったくもって現状把握が出来ずに私は彼が待っているであろう箱を開けるという行動をすることにした。

「コレ、私に?」

開けた小箱の中には、思っていた通りの指輪が入っていた。

リングの中央にはピンクの石がはまっていた。

「お前に渡したんだからそうなんだろうな。」

一瞬でひいた涙が再び瞳を襲った。

「まぁ、なんだそろそろ結婚前提でつきあうのもいいかと思ってな。」いつもの彼と違って少し恥ずかしそうにそう言った。

「え・・っと・・・ありがとう?」

いきなりの彼の言葉になんて言っていいかわからずとっさに出た言葉だった。

「プッ・・・なんで疑問形なんだよ。」

吹き出しながらも、しゃーないなーとばかりに優しく私の頭を撫でてくれた。

「さて、中に入って冷えた体を暖めよう。」

玄関先にいることを思い出したかのように私のバッグを受け取り、中へ促した。

「なに、この料理・・・」

彼に促されるまま部屋に入るとびっくりなぜかテーブルの上には色とりどりの料理が並べてあった。

「買ってきた。ほら、用意をして食べよう。」

にっこりほほ笑む彼の行動に驚きながらも私の為に用意をしてくれたと思ったらとても嬉しくなった。

「でも、なんで今日?」

凌が買ってきた料理を食べながらなんでわざわざホワイトデーである今日だったのか気になり聞いた。

「なんで、ってホワイトデーだから・・・お返し?」

凌は腑に落ちないといった感じで答えた。

「お返しって・・・何に対して?」

本来、ホワイトデーは先月のバレンタインのお返しをする日・・・私はいままであげたことはなかった。

いままでの関係すらなくなるような気がして・・・

だから、今日の彼の行動は他に恋人が出来たんだと勘違いしたのだ。「何って、くれただろう?チョコ・・・」

・・・???

チョコなんてあげた覚え・・・・

「あっ!!!あのウエハースみたいなチョコ??」

1か月前を思い出しある出来事にたどり着いた。

自分の車のスモールランプが切れていて、バイヤーに持っていった。

そこでは、お客様サービスでドリンクをくれるだけではなくお菓子もくれる。

凌と行くことも多く、その日はいつもの人で今日は一緒じゃないんですか?と凌の分のお菓子もくれたのだった。それを翌日なにげなくあげたのだ。

それがたまたまバレンタインデーだったのだ。

お菓子の表にはそのバイヤーのメーカー名も載っていたので私は気にも留めていたなかった。

「・・・・」

せっかく付き合えるようになったのに、その話をするかどうか悩んだがこの先のことを考えて申し訳ない思いで話をした。

話し終わると絶句した彼・・・

「本当に、ごめんなさい!!

でもあの・・・明日!明日、チョコ用意するから!!」

これ以上、彼を怒らせたくない。

そう思い、解決策を頭に巡らせ考えた結果を叫んだ。

「いや、勘違いした俺が悪い・・・

それに、振られなかったから別にいい。」

苦笑いしながら凌は私を制止した。

「そのかわり・・・来年を楽しみにさせてくれ。」

そういうと私の左手をとり優しく人差し指にキスをした。

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