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  後輩♀×先輩♂ (後編)

「逃がすかよ。」

掴まれていた腕をグイッと引っ張られ気が付いたら先輩の腕の中にいた。

「・・ムカつく」

先輩の・・・好きな人の腕の中にいる嬉しさを噛み締めているとボソッと言った

言葉が私の耳に届き、無意識に背中へと伸ばした手をギュッと力を入れた。

私ばっかりが先輩のこと好きなの?

そんなこと言われたら期待すら出来ない

「なんで俺ばっかり・・・」

耳に聞こえてきた言葉の意味がわからずに私はパッと顔をあげた。

「い゛っ・・・」

顔をあげたと同時にゴンッと大きな音ともに先輩の鈍い声が聞こえた。

「あっ・・・ごめんなさい・・・」

視線の先には顎を痛そうにさする先輩がいた。

私の頭が先輩の顎を直撃したようだ。

「ゆるさねぇー」

ギロッと蛇のように睨む先輩・・・

いまだ先輩の腕の中にいるが睨まれた私はビクッと顔を見えないように先輩の胸に埋めた。

「・・・言いたいことはバカみたいにあるが、これだけは教えてくれ」

頭上から先輩の声がする・・・

聞きたいこと・・・?

一体なんだろうか・・・・「俺と一緒にいるのは嫌か?」

これまでの先輩の強気な声とは違っていた。

私はびっくりして慌てて顔をあげた。

「・・先輩が一緒にいたくないんでしょう?」

まるで私が悪いかのように言った先輩

でも、帰れと言ったのは先輩だ。

だから私は・・・・

そう思ったが口を開かずに先輩の返事を待った。

「・・言いたいことを飲み込むな。いつもの強気なお前はどこにいったんだよ。」

再び、視線を逸らし顔を埋めようとしていたら先輩の両手によって阻まれ無理やり視線を合わせられた。

「・・・先輩が帰れって・・言った・・・なんだかもう・・・いら・・ないって・・言われたみたいで・・・」

涙が枯れるなんて嘘だ・・・先輩がいくら拭ってくれても涙はとまらない。

「違う・・・そんな意味じゃない・・・ただ、お前目当てが増えてたから・・ったく、なんで俺だけがこんなにお前のこと・・・」

ブツブツともはや私の言うのではなく独り言のようになっている先輩の言葉

私目当て・・・??

お客さんに??

「・・・先輩、ちゃんと言葉にしてください。先輩は、言葉が足りなさ過ぎます!!」

言葉は足りなかったけど、なんだか私と同じ気持ちだったと思ったら急におかしくなってしまった。

「さっきの続き教えてください。俺ばっかりがなんですか?」

答えはなんとなくわかっていた。

『俺ばかりがお前のこと好きみたい』・・・・ついうっかりでいいから先輩の気持ちを言葉で知りたい。

しかし、そんなことうまくいくわけもなくて先輩は話を逸らすかのように頭突きしていた。

「さっきのお返しだ。」

ゴンッと鈍い音がなった頭をさすりながら先輩を思いっきり睨むとニヤッといつもの調子の先輩がいた・・・

元に戻ってしまったら最後・・・

また、当分はそんな甘い言葉を先輩の口から聞けることはないと悟った私だった。

だから、先輩には私が絶対に帰らないって言った理由は教えてあげない。

先輩の気持ちも聞いてないのに嫉妬してたなんて癇にさわっちゃう(笑)


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