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  後輩♀×先輩♂ (中編)

「・・・柚子・・なんで・・・」

いきなり現れた友人に涙を隠すこともせずただ茫然と聞いた。

「菜花が教室に戻りもせずメールだけで帰るなんて言ったから。」

手元にある二つの内一つのカバンを私に差し出した。

「それと、先輩に着いてきてほしいって言われたから。さて、何があったか、最初から話して。一体、いつから付き合っているのかもよ」

さっきの先輩と同じように私の目の前にかがみこみ顔を覗き込んできた。

「・・・その前にその頬の腫れを説明してもらいましょうか」

頬の腫れ・・・?

片方の眉をピクッとあげている柚子の言葉の意味がわからず首を傾げた。

「先輩は気付かなかったようだけど、左の頬が赤くなってるわよ。」

左・・・

「腫れてるの!どうしよう・・先輩気付いてないよね」

先輩のことがいっぱいでさっきの人たちに叩かれた後だと気付くのに時間がかかってしまった。

そして、さっき先輩は私の顔をバッチリ見てしまっている。

「わかんない。さっきは何も言ってなかったから。先輩絡みなの?」

パニック状態になりつつも、私は首を縦に一回だけ振った。

柚子は一回立ち上がり、そしてゆっくりと私の隣に座った。

ゆっくり自分を落ち着け、私は先輩と付き合うことになったところから柚子に話し始めた。

「先輩とちゃんと話をして、付き合ってほしいって言った先輩の気持ちを信じなさい。外野が言うことなんて信じちゃダメよ。せめて信じるならその現場を見たとかにして。ほら、電話しな。」

私の携帯を取り上げ、勝手に電話帳を開く柚子

「知らないもん。いっつも傍にいてくれてたから電話やメールなんて必要なかったもん」

不貞腐れたように私は言った。

そして、気付いた。

どれだけ先輩が自分を大事にしててくれたかを・・・

不安になることなんて何一つなかったのだ。

会いたい・・・

そう思う前に先輩は私の傍にいてくれてた・・・

「信じらんない。どんだけマメなのよ・・・授業にすら滅多に出ないくせに・・・」

手をおでこに当ててはぁーとため息を吐く柚子

私は、柚子の言葉に驚きを隠せなかった。

「あーぁ、菜花は先輩のこと知らなかったのよね。速水先輩と言えば、学校一の問題児なのよ。学校には来るものの滅多に授業は出ない。のくせに頭は良いしスポーツ万能なのよ。まぁ、これはお兄さんも一緒らしいけど・・・」

私は黙って柚子の話を聞いた。

私・・・付き合っているのに先輩のこと何も知らない。

頭が良いことも、スポーツができることも、そしてお兄さんがいることも・・・

「菜花、知らないからといって先輩を好きな気持ちはなくならないはずよ? 今私が言ったのは、先輩の外見の一般的な判断よ。もし、菜花が違う印象を受けたのならそれはあなたが正しいの。菜花にだけみせる本当の先輩よ?だから・・・」

先輩を信じなさい。

柚子がそう言いたかったのはわかった。

だから、私は言わせなかった。

「今日はじっくり考える。明日、先輩と話をする。それでいい?」

別に柚子に言わなくてもよかった。

でも、自分の意志を曲げないためにも宣言をしておきたかった。

翌日、朝礼があり先輩の教室に行けなかった私は、授業をサボるのを覚悟で柚子

に聞いた先輩のよくいる場所である屋上を目指した。ガチャッ

扉を開け太陽の眩しさを、避けるために手をかざし屋上にいる人を目を凝らし見つめた。

「何をしているの?今は授業中のはずでしょう?」

ビシッと言われた一言に私は焦ってしまった。

そこには、学生でない男女がいたのだ。

まさか、ここに先生がいるだなんて思わなかった。

先輩と初めて帰るキッカケをくれた邑井先生だ。

もう一人は、ここの先生ではない・・・

というか、もっと若いが、高校生ではない・・卒業生??

まぁ、そんなことはどうでもいい。

「はい・・あの、速水先輩いらっしゃらないですよね?」

先生がいるならいるわけがない。

そう思ったが聞かずにはいられなかった。

「彼なら、授業が始まる前に戻って・・・ないのね。」

私の苦笑を見てすぐに察知した様子の先生

「何年何組?彼を見かけたら探していたことを伝えるわ。だから、あなたは教室に戻りなさい。この前手伝ってくれたお礼にこのことは黙っておくから」

2-C橋口と名乗り私は仕方なく、教室に戻っていった。

「・・・柚子。」

休み時間のたびに先輩を捜し回っているが、見つけることが出来ずとうとう放課後になってしまった。

柚子はなに情けない声出してんのよ。と言葉には出さないが顔がそう物語っていた。

「私、先輩に避けられてる・・・」

自分の机にだらぁ~と俯せになった。

昨日、怒らせたのだから当たり前かも知れない。

それでも、いつもみたいに私の所に来てくれる。

そう思いたいと自惚れている自分もいる。

でも、現実はそう甘くなくて先輩は現れないどころか見つけだすことすら出来ない。

「・・・ふぅー、菜花。一回家に帰るよ。」

いきなり私の腕をとり引っ張った柚子


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