ええ、恋とは落ちるものだと言うもの。
「もしも私が人魚なら、一目ぼれで舞い上がるなんて愚かな事はしないわ」
「ひ、一目ボレって、会長!」
「私の話よ、落ち着きなさい」
「はい!」
「顔だけの男なんてつまらない。冷静にじっくり人柄を見極めてからでなくてはね、結城さん」
「はい、……え?」
「あの男はお止めなさいな。ではご機嫌よう」
「泡になって消えてしまいたいです、会長……」
「結城さん、私は忠告したわね?」
「ごめんなさい、会長。でも、」
「恋とは溺れるものだとも言うわね。このハンカチ、差し上げるわ。顔を拭いたら捨ててしまいなさい。その恋と共に」
「っ!」
「次は相手をよく見極めなさいな」
「恋、できるでしょうか?」