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Another World  作者: 北斗
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創造の世界


「一稀!霞!」


「夏屶!?」


「夏屶君!美沙も!」


そこには宿屋で別れて行方が分からなかった二人がいた。


「お前ら無事だったのか」


「夏屶達こそ!」


一稀とがっちり手を組んで再会を喜んだ。

美沙と霞は二人でぴょんぴょん飛び跳ねている。


カエルのダンス…


小声で口に出していたらしく、隣の一稀も吹き出した。


「そのへんで良いかな?」


國山さんの声で静かになり、四人は席に着いた。

会議室の様な大きい円形のテーブル。


國山さんの方を向くと、横に谷口さんと他に二人並んで座っている。


國山さんは一度四人を見渡すと、ゆっくり口を開いた。


「聖白園にようこそ。我々が、四大聖天使だ」


「えっ!?」


美沙だけでない、四人がほぼ同時に驚きの声をあげた。


あの人たちが四大聖天使!?

まさかそこまで偉い人とは…


考えていると美沙が横腹を突ついてきた。


「天使って羽が生えてるとか、頭の上にわっかがあると思ってた」


コイツは本当に典型的な天使を想像していたのだな…


青葉さんの口調ではこの人たちが最高の位…

なるほど…あの殺気も納得が出来る。


「まだ全員は知らないと思うからな、紹介しよう。右から谷口 凛、俺は國山 惇、宮下(みやした) 麻美(まみ)そして、小野沢(おのざわ) (りょう)だ」


宮下さんは髪は長くて後ろで一つに束ねている。歳は20ってとこか…あくまで見た目でだが。


小野沢さんもまた美形な顔をしている。

男前だな…やはり20前半だろうな。


「夏屶君はまた考え事かな?」


「うっ…」


谷口さんの言葉で考えるのを止め、國山さんの話に意識を戻す。


谷口さんを見ると微笑んでいた。


それを見て一瞬ドキッとしてしまった。

少年の様な、少女の様な純粋で可愛い笑顔…


こんな時に何を考えて…


頭を振り、気持ちを切り替えた。


「さて、ここからが重要だ。この世界について話を進めよう…」


この…世界…

やっと知れるのか…


「この世界は強い意志を持った死人、つまり、現世で強い未練の有る者が来る死後の世界」


美沙の肩が一瞬ビクッとなる。

死後の世界…やはりおれたちは死んだのか…

他の二人も表情が険しい…

國山さんの話は続いた。


「もう一つは、生死を分ける世界」


「生死を…分ける?」


やはり美沙がいち早く口を挟んだ。


「そうだ。現世で意識不明になった時、君たちの精神はこの世界へ来るのだよ。ここで条件をクリアすれば、精神は元の肉体へ戻る…そう、意識を取り戻すと言うことだ。逆にクリア出来なければ…わかるね?」


「…死ぬってことですか?」


受け答えるのは全て美沙だ。

一番口が早く、理解するのに時間がかかるのも美沙だが…


「そういうことだ。そして、君たちはこの後者に当たる…厳密には少し違うのだが…条件は同じだ」


「………(話が難しいよぅ)」


美沙が黙ってしまった。

やはり難しいのか…相変わらずだ。


美沙の代わりにおれが口を開いた。


「ではおれたちは今、意識不明ということですか?」


「そうだ」


おれは核心を衝くことにした…


「それで…戻れる条件とは?」


「俺が知っている君たちが現世に戻れる条件は二つ…一つは、決められた日数をこの世界で生き抜くこと。恐らくは1、2年だろう…」


(そんなに…)


「もう一つは、同時期にこの世界に来た仲間から殺されること…」


「仲間から!?」


意味が分からない…


「例えば浅原がその三人を殺したとしよう。そうすれば三人は現世に戻り、意識を取り戻す。代わりに…浅原は二度と現世には戻れない。つまり…死ぬ」


「……っ!?」


他の三人も目を見開いた。

さすがの美沙もわかっているようだ。


國山さんの話は続く…


「既に気づいているとは思うが…この世界には白と黒がある」


「黒…か…」


おれたち二人を襲った黒…青葉さんを殺した黒…


「簡単に言えばおれたち白は世界を救おうとしている者達…黒は世界を壊そうとしている者達…おれらは日々戦いを繰り返している」


おれは予想はしている…いや、ほとんど確信していること…恐れて、信じたくないことを聞いてみた…


「あの…ここに居ないということは…残りの二人は…伸也と清美は…」


二人の名前に三人はハッとした。


そして…やはり…

聞きたくなかった言葉が返ってきた…


「…彼らは黒だ」


美沙は泣き出し、霞は呆然としている…

一稀は机の一点を見つめて…いや、睨んでいた…

おれは美沙を慰めることで、自分の気持ちも落ち着かせることしか出来なかった…


國山さんたちは立ち上がり、部屋から出て行った…最後に言葉を残して…


その言葉はおれら四人に重くのしかかった…


「あの二人は敵だ…自分たちが生き残りたければ…殺す覚悟をしておけ!それが…この世界だ…」


美沙「久しぶりに四人集まったね♪」


霞「うん!」


夏屶「またカエルのダンスを始めたよ…」


一稀「可愛いから良いんじゃない?」


夏屶「まあ…ってお前そういうキャラだった?」


一稀「おれ出番少ないからね…」


夏屶「で、霞とはどうだったんだ?」


一稀「それは…まあ…」


夏屶「何照れてるんだよ!」


一稀「う、うるせ!」


夏屶「だからどうなったんだよ!」


霞「付き合い始めたよ♪」


夏&美&一「え゛っ!?」


夏屶「なんだこの展開…」

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