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Another World  作者: 北斗
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青空の彼方(かなた)へ

おれは決めている



おれの歩むべき道は



帰るべき場所は――







「はぁはぁ…」


廊下を走る一つの影。


その影はある扉の前まで来ると立ち止まり、勢いよく扉を開けた。


「おい!一稀が…一稀が殺られたって本当なのか!?」


扉を開けた少年は声を荒げている。


「残念だが…彼は破壊神が現れた時に命令に反し、撤退せずに立ち向かって行ったそうだ」


「そのお陰で被害が最小に抑えられたのは不幸中の幸いかな」


部屋にいた惇と亮が答えた。


何故一稀は命令を無視したんだ。


何をそんな馬鹿なことを…


おれは拳を強く握りしめた。


「一稀はね、父親と霞の仇をとろうとしたんだと思う」


その声はおれの隣から聞こえた。


「美沙!…仇ってどういうことだよ」


「やっぱり夏屶は何も知らない。一稀の父親…それは最初に会った、あの時の青葉さんだよ」


「なっ…」


まさか…


気づかなかった。

まさか青葉さんが一稀の父親だったなんて。

名前が一緒だったのは偶然じゃなかったのか。


本当に何も知らないな…


それと…もう一つ確認したいことがあった。


「霞の仇ってことは…」


「そう…霞は死んじゃったよ…」


何も言葉が出なかった。

霞まで…


おれは今まで何をしていたんだ。


「…夏屶?」


おれの身体は震えていた。

恐いとか悲しいとかそんなものじゃない。


悔しかった。

自分の大切な友達を何も知らないまま失っていたことが。


今までの自分の行動がひどく馬鹿だと思えた。


「美沙…話したいことがある。着いて来てくれ」


そう言って返事も聞かずに美沙の腕を掴んで引っ張った。


「ちょっ、夏屶?」


おれは無言のまま空いている部屋に入って、そこでやっと手を離した。


美沙は、おれがいつもと違う雰囲気を持っているのか怯えた表情をしていた。


「ごめん、乱暴してしまったな」


「ううん…話…あるんでしょ?」


おれは少し間を置いて口を開いた。


「もうおれと美沙の二人だけになったな…」


「うん…でも…伸也もいる…」


そう…今この世界で生きているのはこの三人だけ…


「美沙…寂しいか?恐いか?」


「…夏屶が居るから大丈夫…」


答える言葉は弱々しく、美沙は下を向いている。


おれは美沙に近づき、指先で顎を上げる。

そして、そのまま顔を近づけ、唇を重ね合わせた…


「ん………か、夏屶!?」


長い口づけの後、少し間があって驚きの声をあげた。

おれは身体を離さずに今度は耳元に口を持っていく。


「…美沙はちゃんと生きてくれ。おれや皆の分まで……今までありがとう……美沙」


「!?かな…た……」


それ以上の言葉が少女から発せられることはなく、ただ力なく身体を崩した。


おれはその身体を片手で支え、ゆっくりと床に寝かせた。


手に赤く染まった刀を握り締めて……



これでいい…


これでよかったんだ。


美沙はこれで助かったじゃないか。


そう自分に言い聞かせ続けた。




赤い水溜まりに綺麗に光る水滴が落ち、部屋には少年の嗚咽の音ががしばらくの間響いていた。







部屋に沈黙が戻った時、少年の目に迷いはなかった。


――美沙、おれがこの世界を平和にしてやる。もしもまた、こっちに戻って来るようなことがあっても、安心して過ごせるような世界に――






おれは今度は違う部屋の前まで来ていた。


「凛!居るんだろ」


ほとんど叫びに近い声を出す。


その声に反応し、部屋の中から少女が出てきた。


「なに?もう一緒には……」


おれは最後まで言葉を言わせずにその身体を抱きしめた。


「凛、おれは言っただろ。もうお前を離さない。お前を守るって」


「でも…でも夏屶はこっちに居たらダメなんだよ!」


少女が離れようとするのを拒み、更に抱きしめる力を強くする。


「美沙を現世に還してきた…覚悟は出来ている。いや、違うな…おれはこっちに居なければならないんだよ」


「そ…そんな…何で!?」


「おれはこっちで罪を作り過ぎた。今まで凛一人に押し付けてきた。今度は、おれが罪と向き合い、償う番だ」


そう、おれは罪を償わなければならない。


凛を守らなければならない。


この世界を平和にしなければならない。



少女からは何も言葉が返ってこず、ただ泣き声が聞こえてくるだけだった。


「おれにはもう一人助けてやらなければならない奴がいる。行ってくるよ…復讐という言葉に取り付かれた親友を助けに…」


おれは少女からの言葉を待たずにその場を後にした―――









――――――――――

目を開けるとお母さんとお父さんの顔があった。


1週間も眠っていたんだと聞いた。


そして、他の皆…清美…霞…一稀…伸也…そして夏屶…

私の大事な友達は皆目を覚ますことはなかったって聞いた。


夏屶は私と同じぐらい眠っていたけど、私が目を覚ますのとほとんど同じ時に息を引き取った。

伸也は少しした後に夏屶の後を追った。



私たち六人は土砂崩れに巻き込まれたらしく、結局生き残ったのは私一人…


でも何故だか寂しくはなかった。


目を閉じるとすぐそこに夏屶が居る気がした。


大丈夫だよ美沙…夏屶は死んでないよ、ちゃんと生きてる。


そう自分に言い聞かせる。


自分の横には目を覚ますことのない大好きだった人の身体がある。

ちゃんとそれを目にしているけど…


私変なのかな?


夏屶はちゃんとそこに生きていて、私に頑張れって言ってくれてるの。



私は病室の窓へと視線を移す。


ねぇ夏屶…今日も青空が綺麗だよ―――

凛「うわぁぁぁん、ついに最終回だよ〜〜」


夏「その最後に何故お前がおれより先に言葉を出すんだ!?」


凛「ご、ごへんにゃはい」


夏「分かればいい」


凛「うわぁぁぁん、最後に夏屶にいじめられたぁぁぁ」


夏「うるさい!」


麻「バカップルは放っておいて…皆さんどうでしたか?」


美「分かりにくいところが沢山あったんじゃない?」


夏「ぐっ…それは…」


美「ということで、分かりにくかったところや質問がある人はどんどん言ってください」


夏「どんどんって…」


美「答えるのは夏屶の仕事だから♪」


夏「そういうことか…」


凛「まだまだそれだけじゃないよ♪」


亮「だな」


凛「も〜、急に入ってくるな!…おっと、肝心なことを言い忘れるとこだったよ」


麻「皆さんが気になった人物の過去話や夏屶以外の視点で見てみたいっていうリクエストも待ってます♪」


凛「あぁぁぁ!!僕のセリフを〜!」


麻「この麻美の華麗なる過去の話♪」


美「美沙の悩める少女の物語♪」


凛「凛と夏屶の昔話♪」


惇「てめぇは何歳だ!」


伸「俺の視点だと黒の事情がわかるぜ!」


凛「てな感じで沢山あるのでリクエストも待ってま〜す♪」


霞「賛否両論あると思いますが感想も欲しいです」


夏「では皆さん、ありがとうございました!」

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