表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Another World  作者: 北斗
12/28

認定試験


「――では、まず最初に行うのは…青葉一稀!」


名前を呼ばれ、一稀が演習場の真ん中へ歩んで行く。



おれらの実力を知るためにここの人達…聖白園の人達と模擬試合をするらしい。


もしかして國山さん達とも戦うのかなぁ…


そうなると




面倒だ…



目の前では既に一稀の試合が始まっていた。


一稀の戦うところを初めて見る。


一稀ってあんなに強いんだな…


相手は下級兵士から始まるみたいだ。一稀はほぼ一瞬で次々に勝ちを手にしていく。


おっ、バカでかい人が出てきた…



まぁ一稀の敵ではないだろうな



一稀はいつもは寝てばかりいるが、実はかなりの馬鹿力の持ち主だったりする。


案の定バカでかい人は一稀に力負けしてあっさりと負けた。


「やっぱり隊長クラスじゃないとダメだって♪」


凛さんが他の三人に提案している。



何故あんなに楽しそうなんだろう?


また厄介なことになりそうな気がする…


一稀は、結局番手の低い隊長には勝っていたが、第三手の人に負けて試験は終わった。


さすがに第三手にもなると半端な強さじゃないな。


「川口美沙!」


「は〜い。う〜し、頑張っちゃうよ〜!」


相変わらず呑気な奴だ。


美沙は意外にも強かった。


一稀までは行かないものの、第5手の隊長に負けるまで終始ハイテンションで戦っていた。


「まぁけぇたぁぁぁ〜」


負けた張本人は、もの凄く大袈裟に嘆きながら戻ってきた。



煩い…



てか何故そんなにテンションが高い!?


「…楽しそうだな」


「もちろん!夏屶もしてみればわかるよ」


初めて戦って泣いてたのは何処のどいつだよ!


やっぱり美沙はわからん。



ん?次は霞か。


ということはおれは最後か。



霞は徹底した守りの体制で、相手の隙を見つけては確実に攻撃を当てていた。


力で押す一稀とは違って堅実な霞か。


お似合いカップルなのかもな。


霞は第6手で体力が持たなくなって負けた。


あれだけ連戦すれば当然か。


「次!浅原夏屶!」


やっとおれの番か。


ゆっくりと真ん中へ足を進める。


いざ中央に立つと周りの視線とが一点に集まり、極度の緊張に襲われる。


初めに戦う相手はやはり下級位の人からみたいだ。


ゆっくりと演習用の木刀を構え、相手を見据える。


いよいよだ


「始め!」の掛け声を合図に互いに動きだす。



遅い



相手の動きが遅すぎる


わざとスローモーションで動いてるようにしか思えなかった。


上体を少し屈め、刹那にして間合いを詰めると同時に腹部に一撃を入れる。


審判員のコールが聞こえないほどに会場をどよめきが包んだ。


(そんなに驚くことなのか?)


「やっぱり隊長クラスじゃないと無理だと思うな〜♪」


凛さんが何か余計なことを言っているような…

戦う回数が少なくて済むならそれはそれで歓迎なんだが。


凛さんの勧めで何故か一気に隊長クラスの人と戦うことになった。


相手はあの青葉さんの部隊隊長…高村さんだ。


「青葉の節は世話になったね」


「いえ、自分のせいで青葉さんは…」


ぎゅっと木刀を持つ手に力を入れる。

それを高村さんは見逃さなかったみたいだ。


「君がそんなに悔やむことはないよ。青葉の為にも今僕に力を見せてくれ」


さすがは隊長、器も違う。

そうだ、おれはおれの為に犠牲になった青葉さんの為にも、みんなを守る為にも強くなければならないんだ。


「いきますよ」


始まりの合図と同時に一気に斬り込む――高村さんでも動きが遅い。


小細工などせず一直線に動き、同じ様に一撃を入れた。


『早いな…』


『あの動きは並じゃない…』


いろいろな声が聞こえてくる。




―やれる


それは推測でなく確信――




おれは第4手まで比較的楽に勝ちを手にした。


自分でも不思議な気分だ。


何故こんなに周りの動きが遅く見えるのだろうか。


闘いに勝てている喜びよりも、疑問の念が頭を埋め尽くしていた。


だが、また新たな悪魔の囁きが耳に入りその思考は停止した。


「僕にやらせて♪その方が実力がわかるし、手っ取り早いからさ♪ね?惇いいでしょ?」

ま、待て


何故凛さんと…無理が有りすぎるだろ


しかも國山さん承諾してるよ…


やっぱり凛さんが絡むとものすごく面倒なことになる。



おれの目の前には無邪気に笑う少女が――



さて、どうなることやら

一「疲れた」


夏「…第一声がそれかよ」


美「まだ試合した〜い!」


夏(だから何故そんなにテンションが高いんだよ)


美「そうだ!夏屶やろうよ」


夏「はっ!?そんな無理に決まって…」


凛「そうだよ!夏屶くんは僕とするんだから♪」


夏「…(嫌です)」


美「夏屶は私が!」


凛「僕だよ!」


美「夏屶は私のものなの!」


凛「夏屶くんは僕のだもん!」


夏「…(待て、方向が変わってる)」


霞「夏屶君はわたしのじゃないけど…暇だから参加する」


夏「理由がおかしい!しかもおれは誰のものでもない!」


美&凛「えっ!?そうなの!?」


夏「…(何故に驚く…)」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ