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第7話 最初の召喚
あれは――忘れもしない、真夏の午後。
部活を終え、汗で張り付いた制服のまま、駅へ向かって歩いていた時だった。
夕立の匂いが近づいてきて、空が急に暗くなる。
次の瞬間、眩い光が全身を包み込み、足元が消えた。
「……え?」
叫ぶ暇もなく、目の前の景色がぐにゃりと歪んだ。
体が引き裂かれるような感覚。熱と光。
そして――気づけば、私は見知らぬ大広間の床に膝をついていた。
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「聖女さま……!」
頭の上から降ってきたのは、そんな声だった。
顔を上げると、玉座に座る皇帝と皇后。
その隣には、凛々しい顔立ちの青年――勇者にして皇太子。
(な、なにこれ……夢? いや夢にしては……リアルすぎるんだけど!)
突然の事態に頭が追いつかない。
でも周囲は当然のように私を「聖女」と呼び、跪いてくる。
「あなたがこの国を救う存在……女神の神託があったのです」
神官が告げるその言葉は、現実味がなかった。
けれど――目の前の人々は皆、真剣そのものだった。
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ただの剣道部の女子中学生だった私。
その日、15歳の「篠原さや」は異世界に召喚された。
(なつかしいな。あの夏の日から、すべてが始まったんだ……)




