第4話 国を出るべき理由
ちらっとだけでも見てくれてありがとうございます♪
城門をくぐり抜け、強い陽射しを浴びた瞬間、私は深く息を吸った。
自由になったはずなのに、胸の奥はちっとも晴れない。むしろ逆だ。
(……あの国王の顔。あの高校生カップルの態度。どう考えても、この国に未来はないでしょ)
勇者と聖女を名乗る二人は、まるで舞い上がった子供のように権力を与えられ、好き勝手に振る舞うだろう。
そして国王は、そんな彼らを「利用できるうちは」大事に扱い、利用価値がなくなれば――?
想像するだけで背筋が冷えた。
要するに、この国に長居するのは自殺行為だ。
拠点を探すとか、職を得るとか、それ以前の問題。
「さっさと国境まで行っちゃった方がいい、ってことだよね」
自分に言い聞かせるように口にすると、不思議と少し落ち着いた。
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まずは街の様子を探る。
石畳の広い通りには露店が並び、野菜や焼き菓子の香ばしい匂いが漂っている。
一見すると賑やかで活気がある街並み。けれど、人々の会話に耳を傾ければ――。
「また徴収かよ……勇者様のためだとか言って、結局は国王の懐に入るんだろ」
「しっ! 声が大きい!」
小声の不満、警戒の目。
街全体がどこか押し殺したように息苦しい。
(やっぱりな……空気が悪すぎる)
城から追放されたのは不幸中の幸い。これ以上この国に縛られるのはゴメンだ。
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夜は安宿に一泊することにした。
木造の粗末な宿屋で、部屋の隅には藁を詰めただけの寝台。
けれど、屋根があるだけで十分だ。
硬いベッドに身を沈め、私は天井を見上げながら考え込む。
「ここに腰を落ち着ける気はない。早く出る。それが正解」
口にした言葉は、自分への約束のように響いた。
この国にはいない方がいい。
それはもう、確信に近い。




