表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/15

第14話 冒険者ギルドへ

 翌朝、私は早起きして身支度を整えた。

 宿の朝食――パンと薄いスープをかき込み、昨日聞いた通り中央広場を抜ける。

 すると、遠くからでもわかるほど立派な建物が目に入った。木造の二階建て、大きな扉の上には剣と盾を象った看板。


(……うん、どう見てもギルドって感じ!)


 胸の奥が少し高鳴る。

 勇者でも聖女でもない、ただの「追放OL」。でも、ここからが私の異世界生活の本番だ。



---


 扉を押し開けると、いきなり酒と汗と革の匂いが鼻をついた。

 ざわざわとした空気の中、テーブルでは冒険者たちが酒を酌み交わし、壁際には依頼の張り紙がずらり。

 奥のカウンターには事務員らしき人が何人も座り、書類を捌いていた。


(おお……なんかテンプレ! 異世界冒険者ギルドの現物を拝めるとは……!)


 感動していると、近くのテーブルから声が飛んできた。


「おい見ろよ、新顔だぜ」

「またひよっこが登録に来たのか?」


 あからさまな視線を感じつつも、私は気にせずカウンターへ向かう。

 ここでビビって引き返したら、笑い話にもならない。



---


「ようこそ、冒険者ギルドへ。登録希望ですか?」


 対応してくれたのは、眼鏡をかけた事務員の女性だった。

 笑顔は仕事用だが、慣れた調子で言葉を並べる。


「登録には簡単な身元確認と、適性検査があります。費用は銀貨一枚。年齢制限はなく、特に問題なければ仮登録から始められます」


「……適性検査、ですか?」


「ええ。身体能力と魔力量を簡単に測るんです」


(げっ、魔力量! ここでバレるの? 魔力なし判定、二回目やるの?)


 思わず冷や汗がにじむ。

 けれど、ここで逃げてもどうしようもない。腹をくくるしかない。



---


「では、こちらの水晶に手を置いてください」


 差し出されたのは、両手に収まるくらいの透明な水晶球。

 ……ああ、これもテンプレ。どこかで見たことある光景。


 私は深呼吸し、両手を水晶に置いた。

 すると中に淡い光が広がり、事務員が記録用紙にペンを走らせる。


「……ふむ。体力は平均的、敏捷はやや低め。魔力量は……?」


 一瞬、事務員の眉がぴくりと動いた。


「……ゼロ、ですね」


(はい出たーーー! 安定のゼロ判定!)


 背後からクスクス笑いが聞こえる。


「魔力なしだってよ」

「はは、ただの素人じゃねえか」


 遠慮のない声が飛んできた。


(……まあ、笑われるのも慣れてきたかも)


 心のどこかが冷えていく。

 でも、ここで折れたら負けだ。


 私は肩をすくめて答えた。


「まあ、しょうがないですよね。ないものはないし」


 事務員は少し驚いた顔をしていた。

 普通なら落ち込むところを、あっさり受け入れたように見えたのだろう。


「……あなた、案外肝が据わってますね。魔力がなくても依頼は受けられます。ただし、無理は禁物ですよ」


「ありがとうございます!」


 書類に名前を書き込み、登録証を受け取る。


 これで、晴れて「冒険者」の仲間入りだ。


(よし。二度目の異世界、二度目の人生。

 肩書きは“冒険者”からスタート!)


 私は手にした冒険者証を見つめながら、胸の中で小さくガッツポーズをした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ