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仮定世界のログキーパー -仮定世界創造神録ー  作者: 田園風景
魔法絶頂時代 (神域残響65)
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3-9裏.さあこの邪神竜にどこまで抗えるかな諸君?

「ターゲット全て着弾。状況確認……死傷者及び重傷者無しじゃ」

「まあ、この程度ならな。……でも、さすがに簡単すぎる」

「恐らく、今のは囮じゃろうな」


 やっぱりか。

 辺り一帯は、砕け散った巨大ゴーレムの残骸と、弾き飛ばした無数の魔法によって、完全に視界を奪われていた。

 粉塵が魔力を含んで舞い上がり、ただの風ではなかなか晴れてくれない。


 ――正直、ちょっとウザい。

 粉塵の向こうから、チクチクと飛んでくる魔法も地味に鬱陶しい。


 その時だ。

 粉塵の奥が、魔煌で染まった。


「ワタル、注意じゃ!」

「……こんなに早く、輝律杖を切ってくるか!」


  老女王トゥエルノーラに与えた輝律杖アルカ・セラフィムの効果。

 それは指揮者が味方と見なす魔法を一つに束ね、その威力を極限まで高めた一つの魔法に進化させる事だ。

 束ねる数が多ければ多いほど、その威力は指数関数的に跳ね上がる。


 つまり――

 今、この瞬間に撃ってきたということは。


「さあ、どれぐらい集めてきた!」

「魔力遮断シールド、展開するぞ」


  邪神竜を守るシールドを展開した瞬間、天空が閃光で染まった。

 収束した魔煌が、雷光の槍のように突き刺さる。

 次の瞬間、凄まじい轟音が鼓膜を叩いた。


 遮断できるはずのシールドが、目に見えて削られていく。

 ……冗談だろ。

 どれだけの人数を束ねたんだ、これ。


「どうする? このままではシールドを突破されるぞ?」

「反撃だ! 真魔道砲、発射!」


  邪神竜の体表に、新たな魔法陣が花開く。

 そこから溢れ出した黒い波動が、押し寄せる魔法の奔流を真正面から押し返した。


「はは! いいねぇ! だが――まだ温い!」


 向こうも負けじと、魔法にさらに魔法を重ねてくる。

 一瞬、力が拮抗する。

 だが、じりじりとこちらが押し返していく。

 どうした、まだまだこっちには余力があるぞ!


 このまま俺の攻撃に飲み込まれて負けるか?

 しかし様子がおかしい。

 周囲の粉塵と目の前の魔力光で分かり辛いが、明る過ぎる!


「ワタル! もう一撃、デカいのが来るぞ!」


 次の瞬間。

 太陽光の奔流のような一撃が、すべてを薙ぎ払って襲いかかってきた。


 先程の魔法とは、次元が違う。

 粉塵も、ゴーレムの残骸も、すべてを吹き飛ばしながら迫ってくる。


「防御機能緊急全開放! 掴まれ!」


  邪神竜が吠える。

 複雑な防御紋を何重にも展開するが――意味を成さない。


 全身が、光に包まれた。

 感覚が、溶ける。

 邪神竜が――いや、俺とヒガンが、光の中に消えていく――




「なんてな! ヒガン、再生だ!」

「了解。邪神竜、再生するぞ」


  人々が邪神を倒せたと喜んでいる所申し訳ないが、こんな初手必殺技で終わらせる訳にはいかない。

 稲光を伴う演出と共に、邪神竜を再構成する。


  ……それにしても。

 さっきの一撃は、本当に危なかった。

 完全に邪神竜のスペックを超えていた。


 世界中の魔法をかき集めたんだろう。

 あれは、素直に称賛するレベルだ。


「さっきの一撃は見事だったが、それで終わりかな? 終わりならお前達の負けが確定するぞ~」


  先程までの魔力が濃厚に漂う空の中、周囲をサーチする。

 まだまだ元気そうな兵士が沢山いるぞ。あそこがが本陣のようだな


「さて……余力は、どれくらい残ってる?」


  無数の魔力球を生み出し、そこから細い光線を放射する。

 本陣の人員が、次々に倒れていく。


 阿鼻叫喚。

 一気に、敗色が濃くなった。


「どうやら限界のようじゃの」


  ヒガンが呟いたように、もはや全員に反撃の力は残って無いように見える。

 先程の攻撃も、殆ど防御できていないことからも読み取れる。

 反撃できないようなら……終わりだ。

 無駄に引き延ばすのも、俺の趣味ではないのだ。

 そういう意味では、初手必殺技と言うのは良かったぞ。


「それでは――今回は俺……いや、悪の勝利だ!」


  再び、魔力球を生み出す。

 今度は、力を溜めて、一気に終わらせる。


 大丈夫、痛くしないよ。


 力を貯めた魔力球を一つに統合し、極大の光球と成した。

 仮に先程と同じ攻撃が来たとしても、これで吹き飛ばしてくれよう。


「さぁ、散れ! 現世の人々の希望と共に!」


  ゆっくりと。

 本当に、ゆっくりと。

 魔力球を、本陣へ撃ち落とす。


 ――だが、その時。


 周囲に漂っていた拡散魔力が、一点へと収束し始めた。

 本陣……いや。


「これは……発動したか!」


  トゥエルノーラだ。


 輝律杖には保険を仕込んでおいた。

 危機的状況で尚諦めず立ち向かう時、周囲の魔力を吸収してそれが発動する。

 現状では忘れ去られた神力をその身に漲らせ、自身の力として無自覚に扱うことが出来るのだ。


 俺が撃ち出した魔力球がいとも容易く散らされた。

 煙が晴れる。


「……うむ。衣装も良いが、素材も良かったようだな」


  そこに立っていたのは――

 老女王トゥエルノーラではない。


 可憐な魔法少女の姿だった。


 神力を扱うには、今の時代の肉体では耐えきれない。

 だから、体ごと作り替える必要がある。


「ワタルの趣味じゃろ?」

「てへ♡」


  ヒガンの冷静な突っ込みが飛ぶ。

 ……いいじゃんか。


「まあ、とりあえず」


 魔法少女トゥエルノーラを見据える。


「――真の最終決戦と、行きましょうか!」

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