表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仮定世界のログキーパー -仮定世界創造神録ー  作者: 田園風景
魔法絶頂時代 (神域残響65)
71/83

3-7裏.魔王を超えた邪神様ですぞ!

「……何だ、この空間?」


  視界のすべてが闇だった。

 上下も左右も区別がつかない。ただ、どこまでも広がる黒。


 さっきまで居た、あの呪文だらけの広間とは明らかに違う。

 どうやら、完全に別の空間へ飛ばされたらしい。


「ふむ。封滅空間の類じゃな。閉じ込めた存在を、このまま消滅させる気じゃろう」


  ヒガンの淡々とした声が、闇の中に響いた。


 ――直後。


 凄まじい電撃が、俺とヒガンを包み込んだ。


 雷光が闇を切り裂き、空間そのものが震える。

 通常なら、肉体も魂もまとめて消し飛ぶ代物だろう。

 魔王であろうと、生き残れる保証はない……


「で、これ何? 眩しいんだけど」


  俺とヒガンには勿論通用しない。

 激しい電撃の中で揺られていた。


「この雷撃で封印対象を破壊し、その残滓から力を抽出する仕組みのようじゃな。ほら、僅かじゃが力が流れておる」

「お、ほんとだ」


  視線を凝らすと、俺とヒガンから、細い流れのように魔力が引き抜かれているのが分かる。

 世界基準なら、恐らく“膨大”と呼ばれる量だ。


 だが――


「……少なっ」

「止めるほどでもないの」


  俺たちからすれば、誤差にも満たない。

 この魔力の行き先は、十中八九バーメインだろう。


「どうしようかなぁ」


  魔王として崇められるのもそれなりに楽しかった。

 食べられなかったが用意された食事も、魔王の風格を出す座り心地の良い椅子も良かった。

 だがこの空間は何もない。

 ひたすら暗く広い空間に、眩しいだけの電撃。


「この封印から出る出口は?」


  ヒガンが空間を見回す。


「完全に潰されておる。繋がっておるのは、魔力を吸い出す経路だけじゃ。生物が通れる構造ではないの」


  普通なら、ここで詰みだ。

 生存も脱出も不可能。


 ――普通なら。


「じゃ、その経路から戻るか。封印壊れても構わんだろ」

「確かにの」


  この封印は、閉じ込めた相手をすり潰して力を奪うという、悪辣なシステムだ。

 そのシステムで俺とヒガンを攻撃して、その力を奪おうなんて魂胆が気に入らない。


 俺達であれば、これを破壊して脱出するのは簡単だ。

 だが――


「……ただ脱出するというのも芸がないな?」

「どうするのじゃ?」


 俺は、少し考えてから口角を上げた。


「奴ら、魔王を誘拐したつもりだったよな?」

「そうじゃな」

「実際は、もっとヤバい存在だった……って展開、どうよ?」


  ヒガンが小さく笑った。

 そう、釣った獲物は想像以上だったのだ!


「悪くないの」


 指輪を操作した瞬間――

 この闇の空間に、巨大な存在が顕現した。


 竜。

 だが、ただの竜ではない。


 四本の腕。

 禍々しくも神性を帯びた角と翼。

 全身から溢れ出す、制御されない魔力。


 邪神。

 そう呼ぶに相応しい姿だった。


 破壊のための電撃は、この邪神の身体に触れた瞬間、意味を失った。


 俺とヒガンは、その内部で意識を共有している。


「お、広間の様子が見えるな」

「軍とバーメインが対峙しておる」


  絶好の舞台が整っている。


「よし。派手に行こう。ヒガン、頼む」

「任されたのじゃ」


  邪神竜の口腔に、魔力の光が灯る。

 圧縮され、凝縮され――

 電撃とは比べ物にならない輝きへと変わる。


「撃て」

「ぽちっとな」


 放たれた魔力流は、封滅空間そのものを粉砕した。

 砕け散る闇と空間片を突き破り、邪神竜は前進する。




  視界が開けた。元の広間だ。

 そこに揃っていたのは、『魔王の後継者達』、バーメイン、ウェルザルト王国軍と老女王トゥエルノーラ。

 この邪神竜のお披露目としては十分な役者達だ。


「ガァァァァァッ!!」


  とりあえず、吠えてみた。

 洞窟全体が震え、悲鳴と混乱が走る。

 足を縺れさせる者、腰を抜かす者。


 だが流石は強者達だ。

 恐れつつも、様々な魔法を撃ちこんできている。


 一際強い火と雷の魔法も打ち込まれてきたが、その程度でどうにかなる邪神ではないのだ!

 他の魔法と同じように弾いた。


 自身があった魔法なのだろう。トゥエルノーラが驚愕の表情を浮かべていた。

 だが、その後の判断は早い。


「撤退!」


  老女王は即座に軍を退かせた。バーメインや『魔王の後継者達』も残らず連れて行っている。

 最後まで残ったトゥエルノーラともう一人の視線が俺に向けられたのが印象に残った。


 撤退の判断は正しいと思う。

 かなり広い広間とはいえ、このまま俺が暴れると洞窟全体が崩落する恐れがあるからな。


 広間には邪神竜だけとなった。


「さて」


  俺は、邪神の喉奥で笑う。


「この時代のラスボスは、俺だ! 派手にやるぞ!」

「うむ」

「……あ、人死にだけは出さないでね」

「了解じゃ」


  邪神竜の口と手から撃ち放たれた魔力レーザーが広間の天井に突き刺さる。

 その衝撃で洞窟は崩壊し始めていた。

 見上げると、洞窟から空が覗いている。


 さあ、世界の人間たちよ。この邪神竜にどこまでも抗ってみせろ!

 世界の人間と対決する為、巨体を宙に浮かせた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ