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仮定世界のログキーパー -仮定世界創造神録ー  作者: 田園風景
魔法絶頂時代 (神域残響65)
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3-4裏.創りっぱなしの魔物との再会

  遠くの方で、空気を揺らすような轟音と爆発音が断続的に響いていた。

 斬撃か、衝撃波か、それとも魔法か――いずれにせよ、派手な戦いらしい。ウェルザルト軍と魔物の衝突だろう。


「おー、向こうも派手にやってるようだな」

「そのようじゃな」


  俺とヒガンは、戦場とは別の方角にある未開拓の森へ足を踏み入れていた。誰にも知られてはいないが、ここにも魔物が密かに群がっていたようだ。木々の陰に潜む鋭い視線が肌を刺す。獲物を前にした捕食者の視線――いや、若い人間が二人、餌が来たと認識していると考えた方が近いだろう。


 ただ、魔物の連中も俺たちの設定上の魔力量は感覚で察しているようで、飛びかかるタイミングを探りながら様子をうかがっている。


「いっぱい来ているようだけど、強そうなの居るか?」

「神々の時代から生き残った魔物はまだ数多く居るはずじゃが……ここに居るのは雑魚ばかりじゃな」

「そっか~。じゃ、パパっと片付けますか」


 品定めが済んだのだろう。魔物たちが一斉に姿を見せ始めた。

 平べったい体躯の狼型、棍棒のような腕を持つオーガー、大きすぎる鉤爪を持った猛禽――見たところ、この時代に生まれた新しいタイプの魔物のようだ。


「ガルゥゥ!」

「はいはいっと」


 牙を剥いて飛びかかった狼型の顎に、俺は軽くアッパーを打ち込む。

 骨が砕け、頭部が粉砕し、そのまま絶命。


「思った以上に弱いな」

「だから雑魚と言ったじゃろ。強そうな奴はこの辺りには居らぬ」


  これがトリガーとなったか、次々に魔物が襲い掛かってくる。

 牙で襲い掛かってくるのが多いが、中には糸を飛ばして来たり魔法を放ってくる奴もいた。

 しかし、群れて襲ってきても俺には全然足りない届かない。

 当たってとしても、かすり傷ですら負うか怪しいけどな。


 ヒガンの方を見るまでもない。近付いてくる魔物は、触れる前に全て倒れていく。

 もはや戦闘というより、事故映像だ。


 やがて、生き残った連中が勝ち目なしと判定し、慌てて四散して逃げていった。

 俺たちの目的は魔物退治じゃないので追う必要はない。


「これぐらいかな?」


  倒れた魔物たちをざっと見回すが、俺が創造に関わった魔物は――多分いない。


「ヒガン。この辺りに居る魔物はこれぐらいか?」

「ふむ……この辺りにはこれぐらいじゃの。お主が創造した魔物は丁度今、ウェルザルトの軍と戦っているようじゃ」

「お、今戦ってるのか」


  戦場の様子をモニターで確認してみる。

 結構いい勝負しているな。おや、なんか女王もいらっしゃる。

 一応拮抗しているが、俺が創ったドラゴンがやや優勢だ。

 おっと、ドラゴンの巨体を生かしたボディプレス。これにより軍は総崩れだ。

 このまま軍が負けると思っていたが、なんか強い女の人が登場。あっという間にドラゴンを退けた。

 ……なんか俺が負けたようでなんか悔しい。


「そのドラゴンがこっちの方に逃げてくるみたいだから、待ってようか」

「わかったのじゃ。では、此方に気付けるよう誘導しておくのじゃ」

「よろしく!」


  木にもたれ掛って待つこと暫し。

 血まみれのドラゴンが空を飛びながらやって来た。

 周りの木々を薙ぎ倒しながら俺とヒガンの前に着陸する。盛大な音と土煙が辺りに広がる。


「おー、久しぶり! 良く生きてたな!」

「ぐぅるぅ♪」


  鼻先を俺に擦りつけてくる。

 覚えていてくれたのか。ちょっと嬉しい。


「お~よしよし。ちょっと大人しくしろよ。傷を癒してやる」


  指輪を操作して治癒させる。

 血の汚れはそのままだが、傷は大方回復した。

 完全回復させてもいいが、自力回復の経験も成長には必要だろう――それに、別の理由もある。


 バレていないと思っているようだが、老女王トゥエルノーラが隠れながら此方の様子を見ていたのだ。

 さらに、その奥にもうひとり――男。刺すような視線で俺たちを見ている。


「あいつが『魔王の後継者達』って奴か」

「じゃと思うぞ」


  女王はドラゴンに止めを刺しに来たのだろう。

 問題は、その男の方だ。なぜそんなやつがここに居る?

 視線が女王ではなく、俺とヒガンに向いている――そこから状況は読み取れた。


「よし。ドラゴンよ」

「ぐる?」

「追加の力をやっとくけど、子供とか身内とか子分とかを引き連れて、この地を離れておけ。色々と騒動が起きそうだからな」

「ぐるぅぅ」


  擦りつけてくる鼻に手を置いて、ドラゴンを完調させ追加の力を注ぐ。

 これで良い。生きていたらまた会おうぜ。その時には背に乗せて飛んでくれよな。


「じゃ、あいつだ!」


  瞬間、転移。

 『魔王の後継者達』の男の背後に回り込み、肩へ静かに手を置いた。


「余計な事はするなよ……俺は静かに暮らしたいんだ」


  男は動けないでいた。

 男の体が硬直し、首筋を汗が伝う。

 まあ、監視していた相手がいきなり背後に居たらそうなるよな。


「くれぐれもよろしく。な?」


  言葉を残し、俺はヒガンと共に天空都市の邸宅へ瞬間移動した。

 ソファへ腰を下ろし、思わず息が漏れる。


 ――そう、これは完全にフラグである。


 これだけ釘を刺せば、まあ、間違いなく何かしら動いてくれるだろう。

 ふふ、さて……今夜あたりにでも訪ねてきてくれるかな?

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