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仮定世界のログキーパー -仮定世界創造神録ー  作者: 田園風景
魔法絶頂時代 (神域残響65)
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3-3裏.偏食家設定の追加

  俺が地上の開拓を始めた後日。

 今日も任された地区の建物群をゆっくりと――わざとゆっくりと――創造していた。


 そして昼休み。

 見晴らしの良い丘の上で、ヒガンが用意してくれたお手製弁当を広げる。

 昼風がふわりと吹き抜けて、料理の匂いがふわりと立ち上った。


「お? 珍しいな、手料理なんて」


  声を掛けてきたのは、グロウとその下で一緒に働いている作業員だ。

 他の作業員達も、弁当箱の中身をチラチラと気にしている。


 この世界では「食べ物は創造魔法で作り出すもの」が一般的だ。

 食材を作り、調理し、料理として仕上げるなんてのは、本当にごく一部の趣味人だけ。

 だからこそ、うちのヒガンの弁当は――この世界では珍しい。


「うちのヒガンが作ってくれたんだ」

「旨そうじゃねえか。ちょっと俺も食べてみていいか?」


  その瞬間、周囲の皆の視線が一斉に弁当へ吸い寄せられる。

 ……なんだこの羨望の圧。

 幸いお弁当は大量に用意してくれているので、この場の全員に少しずつなら、あげても問題は無さそうだ。


「ヒガン。皆にあげても良いかな?」


  お茶を配っていたヒガンに、一応聞いてみる。


「構わぬぞ。ただ――」

「あ、いいってさ。ささ、好きなの取ってくれ」


  俺がヒガンの言葉を遮る形になったが、皆は歓声を上げて一斉におかずを摘まんでいく。

 ヒガンが褒められているのを聞くと、俺まで嬉しくなる。

 ……って、やばい。から揚げがなくなる! 俺は慌てて1個口に放り込む。


「では――」


  皆が摘まんだおかずを一斉に口へ運ぶ。

 一瞬の静寂。

 全員の動きが、ぴたりと固まった。


「ん? どうした? 足りないなら、まだあるぞ?」


  次の瞬間、全員の顔が微妙に歪んだ。


「な、なんだ……この単調な味は……」


  さすがに吐くやつはいなかったが、「もういい」と言わんばかりの表情でフォークを置いていく。

 ああ……そうか。

 この弁当、俺に合わせて味調整されてんだった。

 つまり、俺以外にとっては――激マズ。


「だから言おうとしたのに……。まあ良い、口直しを別に用意するから待っておるのじゃ」


  以降、俺には「偏食家」という評価が付いたらしい。

 逆にヒガンは「料理の腕はあるが気遣いが深い」と評判になり、人気が出た。

 ……うちの子に手を出さないでくださいね?




「おーい、ワータル!」


  おやつが欲しくなるような時間帯。

 創造魔法を続けていた俺に、グロウが声を掛けてきた。


「ん、何ですか?」

「今日の作業はここまでだ。明日も作業無し」

「良いですけど、何かありました?」


  魔法をキリの良いところで止め、再開しやすいよう地形にチェックを刻む。


「別エリアで大規模な魔物掃討作戦をやってんだがよ、旗色が悪いらしい。念のため、この辺の作業員は避難してほしいってさ。ったく……ただでさえ遅れてる工期が、またズレるぜ」


  グロウは苛立ちを隠さず頭を掻いていた。

 そりゃそうだ。工事が遅れてるから俺が呼ばれたのに、そこへさらに遅延。イライラもする。


 俺は時間をいくらでもコントロールできるから工期のズレなんて痛くも痒くもない。

 だが「無駄に予定を乱される」のは確かに好きじゃない。


「分かりました。ヒガン、引き上げ準備を」

「わかった。荷物を纏めるから、少し待つのじゃ」


  ヒガンが広げていたお弁当箱や水筒などを片付けてくれる。


「ヒガンちゃんが魔物に襲われるなんて想像したくないしな。ワータル、ちゃんと守って帰れよ?」

「ああ、任せとけ」


  その子、この世界の管理プログラム兼トップなんだけどね?

 この世界の全員が襲っても勝てないからね?


 まあ、そんなことバラす必要はない。

 今日は帰るだけだ。

 さて、明日は突然空いた休みをどう過ごそうか。


「時間ができちゃったし、どうしよっかな」




 翌日。

 俺は天空都市の邸宅のふかふかソファに寝転びながら、突然できた休暇を持て余していた。


 本来なら街を見学する予定だった。

 でも、それよりも――今気になっていることがある。


「今の時代の魔物ってどうなってるの?」


 魔物は最初の魔王アリアンが、創造魔法と動物を掛け合わせて作ったのが起源だ。

 その後、人や動物を取り込みながら増えていったはず。


「この世界に根深く生息しておるの。もはや完全に、生態系の一部じゃ。ちなみに、ワータルが創った魔物もまだ生息しておるぞ?」

「え? 俺そんなの創ったっけ?」

「アリアンが造っておるのを見て、面白半分、対抗意識を燃やして作ったではないか」


  ……あ。作ったな。

 負けん気でドラゴンとか作ったわ。


「よし、じゃあ今日は魔物の様子を見に行くか!」


  休暇の過ごし方、決定。

 久々にちょっとワクワクしてきた。

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