表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仮定世界のログキーパー -仮定世界創造神録ー  作者: 田園風景
神話時代 (神韻残響80)
36/67

2-3裏.神は人を助けない 物語を助けるのだ

「アリアンって、現代じゃめっちゃ強いと思うんだよね」


  森の奥で繰り広げられる戦いを眺めながら、俺はそんなことをぼんやりと考えていた。

 木々の間を縫うように吹き抜ける風は、ただの自然のざわめきじゃない。

 枝葉が揺れるたび、空気の振動に金属音めいたものが混じる。魔力同士がぶつかり合い、森そのものがうなっている――そんな感じだ。


 いやほんと、アリアンってすごい。

 短期間で、あんな化け物をあれだけの数そろえるなんて、どんな発想と技術力を持ってんのか。

 俺は彼の生み出した連中を“魔物”と呼ぶことに決めた。アリアンに倣ってね。


 時代がもっと進み、「神韻残響」が下がれば、彼らも人間にとって深刻な脅威になるだろう。

 けど、この時代じゃまだまだ。せいぜい子供がちょっと手こずるくらいの存在だ。

 それでも、だ。

 あれだけの数の魔物たちが、ライラには一切歯が立たない。足止めすらできてないって、どういうことだよ。


「アリアンが最強ってわけじゃないんだよね。スペックだけの話だけど。現代でスペック最強なのは、ライラだったっぽい」


  まさに“鎧袖一触”ってやつだ。

 黒の城へ一直線に駆けるライラ。その行く手を魔物たちが覆うが、彼女は神力を全身に巡らせ、振るう拳の一撃ごとに敵を粉砕していく。

 遠距離から飛来する矢や魔弾も、軽やかにかわし、返す電撃で射手複数を黒焦げにしてしまう。

 数で押し潰そうとしても、神力の爆発でまとめて吹き飛ばされるだけだ。


 ……この調子じゃ、アリアンすら倒されるんじゃないか? そんな予感が頭をよぎる。

 門前の魔物を一掃したライラは、迷いなく城へ突入。

 俺は少し考えて、城の中へは入らず外からモニターすることにした。なんか面倒な展開になりそうな気がしたからだ。


――どぉぉぉん!


  次の瞬間、門番の鉄巨人二体ごと扉が吹き飛び、爆煙の中からライラが王座の間に突入する。

 ……派手すぎ。

 修理費があるとして、現代なら一発で予算が飛ぶぞ。何の予算かは知らんが。


「ようこそ、我が城へ。よく来たな、ライラ」


  玉座に座していたアリアンが、静かに立ち上がる。

 その姿は、まるで舞台の主役のようだ。

 ――って、ひとりでライラとやり合う気か? スペック差わかってんのかね。まあ、止める気はないけど。


 短い言葉の応酬の後、戦闘が始まった。




「おっと、やっぱこっちに来るなこれは。中に入らなくって良かった」


  俺は周りを見回したけど、戦いを観戦できそうなナイスな場所がない。雲も遠すぎるし。

 しょうがないから、ヒガンと同じく透明になることにした。


  次の瞬間、アリアンとライラが城を飛び出し、空と地上を縦横無尽に駆ける。

 ライラのスペックは上だが、アリアンの直感的な戦術は鋭い。

 攻撃と防御が絶え間なく切り替わり、まるで舞踏のような戦いが続く。

 いやこれ、見てるだけでテンション上がるわ。


「おっと、この一手だけ手助けしてあげよう」


 アリアンがわずかに隙を見せ、ライラの一撃を背中に受ける。さらに雷撃が襲いかかる――このままじゃ決まる。

 俺は指輪を操作し、一瞬だけアリアンの体に防御を張った。雷撃は受けたが、致命傷にはならない程度だ。


 狙い通り、アリアンはすぐに自己再生し、そこから反撃の反撃へ。形勢がひっくり返る。

 うん、俺ってばナイスアシスト。


「これで決着か~」


 アリアンが勝ち誇るが、俺がフォローしなかったら負けてたからね?

 止めを刺そうとした瞬間、ライラは転送で姿を消す。


「ヒガン。 ライラがどこに転送したか分かる?」

「ふむ。 都市ウェルザルトとかいう所に出たみたいじゃな」


  それを聞いてすぐにモニターを起動。映し出されたライラは無事で、少し安堵する。


「この調子だと、次に戦う時はアリアンが負けるかもしれぬの」


  ヒガンの言葉に、俺も同意する。確かにそうだろう。

 でも――それじゃ面白くない。

 物語としては、もう少し引っ張ってほしい。


「ってことで、ライラにはここで制限かけさせてもらおう。」


  この時代の人間たちは“神力”という根源的エネルギーで戦い、生活している。

 俺はライラの神力を半分までしか引き出せないよう制限をかけた。

 アリアンがそうであったように、それでも十分に強いはずだ。


 だが、制限されたままではアリアンを倒すのは難しいだろう。


「さ~て、この世界はアリアンにどう対応するのかな?」




  ライラとの戦闘を終えた直後、アリアンたちは行動を開始していた。

 魔物たちに号令をかけ、進軍が始まる。

 俺は高みからその光景を見下ろしながら、次の展開に胸を躍らせていた。

 この世界は、彼にどう立ち向かうのか――それを見届けるのが、俺の密かな楽しみだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ