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仮定世界のログキーパー -仮定世界創造神録ー  作者: 田園風景
創世時代 (神韻残響95)
15/67

1-4裏.俺氏大勝利!(AI補正込み)

  転移した先には、久しぶりに見るアダムとイヴの姿があった。

 ……いや、少し老けたか? 

 「ほんのり」なんて表現じゃ足りないほど、時間が経っているのが分かる。

 それでも、二人の背筋は真っ直ぐで、瞳には揺るぎない芯がある。

 俺の実年齢なんて、とうの昔に追い越されてる感じだ。――一体、どこまで生きるつもりなんだこの二人。


 そんなことを考えながらも、まずは神様モードを演出しないといけない。

 エフェクトはヒガンに任せて、上空から威厳たっぷりに降臨。スローモーション、風の舞い、神光演出。うん、いつものセットアップだ。


 ところが、降臨する俺の視界に入ってきたのは――想像を遥かに超えた異常事態だった。


 遠くの空間が激しく歪み、空が割れたような音が世界を揺らす。

 距離があるはずなのに、地面がビリビリと震えるほどの衝撃。

 え、何あれ? 何か爆発でもした? いや、これは……戦闘か?


「何が起こってるん?」


  俺は神モードをやや忘れつつ、アダムに問いかけた。

 やや素のトーンだったが、今はそんなこと気にしてる場合じゃない。


「以前、子らがあなたに捧げものを献上いたしました。長男のサリムは狩った肉を、次男のカイレルは収穫した穀物を。あなたはサリムの捧げ物を褒め、それで終えられました。おそらく、それが引き金です」


  ……ああ、あの時のか。俺の記憶にすぐよぎる。

 あの肉、確かに見事だった。シャトーブリアンだったっけ? リアルでは味わえないのが本当に惜しいくらい、仮想空間でも旨そうだった。


「あの肉、シャトーブリアンだっけ? 美味そうな肉だったよなぁ」


  軽くそんなことを呟くと、ヒガンが俺の意図を察して、すかさずフォローしてくれる。

 さすがのサポート。横にいるだけで助かる存在だ。


 アダムも、俺の言葉にうなずいて納得してくれた。

 誤解が解けたならひと安心――ってわけにもいかない。


 目を向ければ、今も続く兄弟の戦い。サリムとカイレルの衝突は、もはや小競り合いの域を超えていた。

 世界の一角が消し飛ぶ勢いで破壊されてるんだが……。


 ところで……俺がこの世界で最強である事は設定上決定しているのだけれども、それがどれぐらい強いのか、一度しっかりと体験で理解したいじゃない?


「やれやれ……そろそろ止めに行きましょうか」


  アダムが前に出ようとしたので、折角の機会を逃してはたまらないと、慌てて制した。

 これは貴重な機会だ。俺自身が“最強”として設定されているこの世界で、その力を実地で確かめられるチャンスなんて、そうそう無い。


「――ここは、俺に任せてよ!」




「サリム、カイレル。ちょっと待ちな!」


  俺の声は、遠くの戦場にしっかりと届いた。

 正直、いきなり近づいて流れ弾に巻き込まれるのだけは避けたかった。だからまずは遠距離からの制止コール。

 案の定、二人はピタリと動きを止めた。ホッと胸をなで下ろす。


「話は聞いたよ。カイレルはそれで怒るのは、ちょっと違くない?」

「……は、はい……」


  俺の言葉に、カイレルが目を伏せる。

 けれど、その顔にはまだ納得できてない感情が残っていた。

 分かるよ……分かる。俺も昔、母さんに怒られて納得できずに黙ったことあるし。


 こういう時はね、理屈じゃダメなんだ。身体を動かすのが一番。だから――


「まあ、気持ちはわかるよ? だからさ。代わりに俺とちょっと戦ってみない?」


「えっ……わ、私が……神と……?」


  カイレルの顔が青くなる。そりゃそうか。いきなり神と戦えなんて、普通は戸惑う。

 ま、流石に神と戦えって言われても困るかな?

 遠慮し畏まってしまっている。

 けど、それだと俺の目的が果たせないんだよな。


 そこで用意したのは傀儡の白人形。俺の意識で操作する遠隔戦闘用の傀儡。

 設定上の“神の力”を間接的に再現しつつ、手加減もできる万能ツールだ。

 これなら、能力はあっても戦い初心者の俺が負けても言い訳が立つし、白人形を操作して戦うのも、ゲーム内ゲームみたいで、ちょっと面白そうだ。


 こうして、兄弟二人vs俺が操る白人形の対戦が勃発したのだった。




  結果……俺の大勝利!

 いや~俺ってば強い!

 サリムとカイレルが弱かったとか手加減していたとかじゃないぞ?

 二人ははっきり言って強過ぎる。能力はアダムとイヴの方が上だが、彼らは性格からして戦おうとしないタイプだ。

 戦闘意思も能力も備えてるという点で、サリムとカイレルはまさに“人類最強”。

 その最強を寄せつけもしない、俺ってばやっぱ神だな!

 まぁ、AIに随分と盛って貰った勝利だけどな……


 さて、演出も済んだし、そろそろ締めといこう。

 といっても、やるべきことは殆ど無い。


「よーく考えるんだな。後でアダムに説教を受けとけよ。じゃあな」


  白人形を通して兄弟に伝えた後は、白人形を光の粒に戻して消去。


「後は頼むぞ、アダム。息子たちを、しっかり教育してやれよ~。ほら行くぞヒガン」

「うむ。やれやれ、若い者の血は熱いのう」


  アダムにも一言告げた後はもう終わりなので、ヒガンと共に『天界』へと帰ったのだった。

 俺の強さも良くわかったし、今回のイベントは顔出して正解だったぜ。

 地送直前に、空を一度だけ振り返った。


 ……ま、今回は大成功ってことで。


 神であることの責任も、楽しさも、両方かみ締めながら、俺は次の展開を心待ちにしていた。

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