第六章 全国ネット! 初めての漫才!! (19)
「でも最近の高校生とゆーたら、ホンマ色々と大変なんですよね!」
相沢は歯切れのいい台詞で切り出す。
「私ら、知っての通り高校生なんでよ。美人の私が三年生でこっちの三枚目のが一年坊主ですねん」
瑠伊も負けずに言う。
相沢はコケていた。
立ち上がり、
「大昔から学生の本分は勉強と言われてますけど、勉強だけしとったらええとゆーもんやありまへん」
観客席の端から端まで見渡していた。
「さらせやわね、ほんまに」
「やはり大切なんは夢見ることやないですかね」
「授業中寝たり、路上で寝たりね」
「その夢と違う!将来の夢や!! 」
「あちゃあ〜、顔に似合わずロマンチックな発言するじゃん!!」
コンビ名の通りの漫才の内容だ。
瑠伊も納得した。
すると相沢はマイクを取り外し真っ正面で陣取るしのぶにマイクを向けて、
「君の夢はなんや?」
訊ねる。
しのぶは真っ赤にして「ダンサーです」と照れていた。
相沢は立ち上がり、
「ほらな。あんな小さいコでもあるんや。瑠伊ちゃんは何になりたいんや!?」
記者のようにマイクを向けた。
「うーん、やっぱりトウダイかな」
「東大って、東京大学か?そりゃあ、凄いけど志が低いで!!」
「ほー、それは凄い。けーすけくん、私のなりたいんは、海を渡る貨物船の安全を見守るトウダイや!」
「なんやの、それ!?」
「鈍いなぁー。海岸にあるやろ夜になれば大きなライトを振り回してる灯台や」
一気に笑いの洪水がきた。
「無茶苦茶やな、瑠伊ちゃんは。そんなの入れるわけがないやろ」
「でも夢見なアカンと言ってたやんか。」
「夢にも限界があるやろ。灯台なんか無理やで、何故なら立て看板に書いてあるやろ」
「なんて!?」
「『関係者以外立入禁止』って」
「し、知らなかった。凄い物知り!!」
「誰でも知っとるわ!!アホ!!」
「けーすけくんは何になりたいの?」
「そらぁー、なんつーかて『主夫』や。男でも家庭や子育てに参加せなアカンっ!!」
この二人のやり取りを聞いて一言。
「結構、ハマっとるな」
静香は感心した声で言うた。
「これでぶっつけですもんね。私、相沢センパイを見直しました」
しのぶもテレビに映ったせいか、とっても機嫌が良かった。
「でもですね、東大と灯台をかけたのは寒かったですね。私なら試験に合格する登第とかけますけど」
「くるみさん、意味の理解出来ませんよ。そんなの」
「あら、そうなの。桜井君」
ユメノ荘の誇る天然キャラのくるみを桜井は押さえた。




