第六章 全国ネット! 初めての漫才!! (18)
その直後だった。
「そんじゃあ、ドリームズのお二人、本番スタンバイしてください」
テレビのアシスタントディレクターの呼び出しがかかった。
略して英語にすればADである。
「あれ?サングラスかけるんですか」
「全国放送よ!グラビア撮影と違って素顔で出来るわけないでしょう!?」
「もうバレてるんだから」
「うるさいわね」
舞台裏にきた二人はリハーサルと同じ位置で登場を待つ。
相沢は平然としていたが瑠伊は緊張感を増していた。
東大受ける時もこうかな。
東大でなくても大学を受ける時というのは少なくてもこうである。
耳元に付けてある小型マイクから、
『はい、CM抜けまーす。本番、五秒前』
カウントダウンが告げられた。
四、三、二、一。
ババッと、ドライアイスの煙とライトの光が飛び込んできた。
サングラスしても思わず手を翳してしまった。
それでも本番が始まったのだ。
観客席の真っ正面にはユメノ荘の皆が横断幕までして来てくれていた。
「さー、お待たせしました。話題の二人、ドリームズの登場です!!未知なるベールを脱いでの漫才をどう聞かせてくれるか、お手並み拝見ですっ!!」
気合いの入った司会者の声だが、瑠伊は聞こえていなかった。
「先輩、リラックス」
相沢が小言で呟いた。
瑠伊も頷く。
ロックアーティストみたいにガバとマイクを掴んだ。
ゴクリ... ... ...
唾が喉を通る音も聞こえた。
「へーっ、まいどー!!ドリームズの二枚目美男子のけーすけでーす!!」
始まった!!!!
「そして野郎どものお目当てのこの美人こそ!!」
「初めましてー!!瑠伊どえーす!!」
思い切りスタンドごと振り回した。
「己れはワイを殺す気かい!!」
「あれ?くーすけくん、いたんだ」
「いたって... ... アンタな」
「まぁー、カタイことは抜きにしょ。例え雑誌のグラビアに写ってなくても、雑談のページが半ページしかなったとしてもええやないの」
「良くないわ!本当に!!」
ここまでが前振りだが既にポツンポツンと笑い始めている。
本題に切り出すのも相沢からだった。
瑠伊は当然後からになる。
「そういえば暗ーい連中が熱くなる季節が来ましたなぁー」
「何の季節!?」
「秋といえば色々とあるけどな、チリのような幸せの為に熱くさせること。つまりは受験や」
「ほー、受験ね。幼稚園の!?」
「あほ!なんで大の大人が幼稚園入るのに真剣にならなアカンね。大学受験や」
「あー、あー、なるほど」
わざとらしく頷く。
笑う人の数も増えている。




