第六章 全国ネット! 初めての漫才!! (15)
何だかんだと色々と騒いだり蠢いたりして、とうとう本番前日となった。
本番前日にある重大な事といえば、瑠伊の全国模試である。
マネージャー代行の静香も今日に限っては心配している様子で、
「遅いなー、受験生。そろそろ帰ってきてもええ頃なんやげど」
玄関先で待っていた。
同じく待っているしのぶは、
「大丈夫ですよ、瑠伊センパイなら」
「そやろかー。この一ヵ月、いろんな事で騒ぎすぎて勉強もロクに出来んかったんと違うん?」
静香は玄関にある時計を見た。
六時三十分。
本当に帰ってきてもいい時間である。
「ロクに出来なかったら、残念会ですか」
ぽつり。
桜井が呟いた。
「冗談はやめてください、桜井さん!!」
「じゃあ、お食事もお赤飯から普通の煮干しに変更しないといけないわね」
のほほ〜んとくるみも呟く。
「くるみさんまでやめてください!!」
しのぶは瑠伊が帰ってくるまで果たしてこの人達を止められるかも心配していた。
特にこの人を止められるのも。
「篠原先輩、線路に飛び込まなければいいのだが... ... ... 」
「勝手に殺さないでください!!」
しのぶは相沢を怒鳴った。
「ん?帰ってきたで」
静香の声に皆反応した。
だが、帰ってきたのは瑠伊ではない。
「あれ!?みんな、どうしちゃったの」
来たのは美歌と角田である。
一同、肩透かしを食らった。
お約束である。
「へえ〜、瑠伊さん模試だったんですか。明日は本番なのに」
普段の動向を知らない美歌は静香から色々と経緯を聞いて初めて理解した。
「それで今夜は模試の成功祝いと明日のデビュー祝いをやろうというの」
「それはいいね。明日は美歌はオフだし、俺が二人の世話をするから紺野さんも休むといいよ」
「マネージャー、寝言は言わんとき。ここまでウチがお膳立てしといて休むわけがないやろ。明日は同行させてもらうで」
「それもそうですね」
一本取られたと角田は笑った。
「お、今度はそうじゃないか」
桜井が言った。
全員、階段を上がってきた人間を見た。
頭のポニーテール。
間違いなく瑠伊である。
だが、様子がおかしい。
「やはり、駄目でしたか」
「勝手に結果下さないでください!!」
しのぶは懲りない相沢に言うが静香も内心で思った。
「やっぱダメやったか」
当然といえば、そうかもしれない。
静香は出迎えて、
「ま、まあな受験生、次もあるしたかがテストや、気を落とさんと... ... ... 」
「あははは」
「へ?」
まさかショックのあまり?
「受験生」
「じ、実はテスト、バッチリだったんですよー!!」
瑠伊は笑いも止められない声で叫んだ。
「もう、トップ返り咲きも決定的!!こんなことって、滅多にないですよ!!」
涙が出るほどの喜びだ。
本当に東大合格した日は笑いすぎて狂ってしまうのではないか?
「それは良かったですね、篠原さん。もしかして出来が良くなかったら、お赤飯から猫まんまになるところでしたよ」
「さっきは煮干しと言ってましたよ、くるみさん」
「あら?そうだったかしら。相沢君」
「篠原先輩に負けない天然ぶりですね」
「ということは... ... 。第一次、成功祝い宴会やーーーー!!」
「ちょ、ちょっと、待ってーーーっ!!」
瑠伊が叫んで止めたいが既に用意されていただけに止められなかった。




