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これが私の生きる道?!  作者: 今井 純志
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第六章 全国ネット! 初めての漫才!! (11)

「ほ、本番までに一週間しかないのに、相沢君がいけないのよ。もう、そろそろ渡してくれてもいいのに」

 最後には開き直っていた。

 頷き一人で勝手に納得して奈々子の存在を忘れて問題集を開いた。

「でも、瑠伊さん。事あるたびに模試と重なって大変じゃないですか!?」

 白けてしまった奈々子が話を切り替えた。

「そうね。この寮に来て一ヵ月、いろんな事がありすぎて勉強もままならないわね」

「成績、落ちてません?」

 奈々子は心配になった。

 瑠伊は「ん?」と首を傾げ、再び奈々子と向かい合った。

 そして、こう断言する。

「大丈夫だって!朝倉さんが退院した頃には、また全国トップに返り咲きね」

「それでこそ、瑠伊さんですよ。渚さんも気にしてましたけど心配はなさそうですね」

「当然よ」

 瑠伊は威張ってみせた。

 奈々子の心配も無くなった。

「でも瑠伊さんが東大に合格でもしたら本当に頭脳派タレントだと騒がれそう」

 奈々子は頭によぎった未来予想図の一つを覗いたという顔付きで呟いた。

 もちろん瑠伊に聞かれると間違いなく黄金のパンチが奈々子の体にヒットするだろうから死んでも言えない。

 コンコン。

 慌てて口にチャックをした奈々子を余所に襖の外からノックした音が聞こえた。

「入ってもいいですよ」

 瑠伊がぶっきら棒に応えた。

「や。瑠伊ちゃん」

 軽く会釈した内村が顔を出した。

 手にはスケッチブックと布を巻いた黒い棒らしい物体を持っていた。

「これ、何ですか?」

 奈々子が聞いた。

「ああ、布に巻いてるのかい!?パステルのブラックだよ。瑠伊ちゃん、君の肖像画を描かせてもらうよ」

「今からですか?」

 瑠伊は机にある問題集に目を向ける。

 内村も気付いていた。

「ああ、勉強の邪魔にはしないよ。最近、雑誌でよく顔を見てるからね」

 襖を閉めて奈々子の隣に腰を下ろして描き始めた。

 奈々子が言う。

「内村さん、こうしてユメノ荘の人々の肖像画を描いてくれるんですよ」

「へえ〜」

「でも皆使っている画材が違うんです。私の時は色鉛筆でしたね」

「うん。奈々子ちゃんの第一印象かな。初々しい輝きを感じたね。だから色鉛筆にしたんだよ」

 言いつつも内村は素早く輪郭を取っていく。上から下へ、その動きは正確だ。あっという間に大まかな輪郭が取られた。

「瑠伊ちゃん。こんな感じでいいかな」

「うわ〜!大人って感じ」

 瑠伊が歓喜を上げるのも無理はない。内村が描いた輪郭はソファーにミニスカートで格好良く足を並べて座っている姿だった。

 奈々子も見たが実物の瑠伊と見比べて一言。

「まさに理想ですね」

 完成された時、果たして何人同じ台詞を繰り返すだろう。

 実感のある一言であった。

「じゃ、細部を描いていくかな。瑠伊ちゃんは勉強してていいよ」

「それでは遠慮なく」

 瑠伊は三度勉強を再開させた。

「それじゃ、私は圭介の奴にバシッと言っておこうかな」

 奈々子は自分と瑠伊が先程飲んでいたココアのカップを持って部屋から出た。

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