第五章 現役女子高生、マスコミ登場!? (12)
カラン、カラン... ...。
「ありゃ?全員揃っとるみたいや」
「それはそれは都合が良かったですわ」
世界でも知れ渡っている関西弁と、とっても軽い口調の二人が入ってきた。
といえど、後者の方は足を骨折をして車椅子を押してもらっている。
この二人の声に反応したくるみは、
「どうも、いらっしゃいませー」
と、こちらも軽く店員のお決まり文句で迎える。
「そんなお決まり文句はどーでもいいんやけどな、今から結婚式でもやるんか?」
チョコレートの三段重ねのデコレーションケーキを指した。
くるみは間髪入れずに答えた。
「違いますよ、静香さん。篠原さんのお祝いです」
「へぇー、東大合格もしていないのに祝い毎か?」
「まあ、それはおめでたい事ですね」
「違いますよ、二人とも。渚は知ってるんじゃないの!?」
と、中腰になって車椅子に座っている朝倉を見た。
朝倉は一度考え込みポンと手を叩くが
「ども、御免なさい。何しに来たのかな、私達?」
相変わらずの天然ぶりを発揮した。
「とにかく、ちょっと座らせて。この人、連れてくるにも疲れたわ」
「じゃあ、カウンターの椅子に座って。用事があるのは篠原さんでしょう!?」
くるみの勘が冴え渡る。
「あ、ああ... ...。そやな」
静香でさえ返事に戸惑っていた。
「え?紺野さんが私に... ...ですか?」
涙を拭き取ってようやく正気の戻り始めた瑠伊が聞き返した。
他の三人もお互いの顔を見合う。
「でも、驚いたわ。篠原さんがお笑いをなさってるなんて」
と、朝倉の切り出しで話が脱線しそうになるが、
「まぁー、その話は後にしてや。それよりも寮が大騒ぎになっとるで」
強引に静香が本題に切り出した。
「まあ、それは大変ですね」
「コック、まだ何も言ってへん」
「そうでしたか?」
二人で即席漫才を繰り広げそうなので、
「紺野さん、紺野さん。寮が大騒ぎというのは!?」
瑠伊が慌てて止めた。
「そや、そや。コックの話術に引き込まれそうになったわ。取材や!マスコミの」
「取材!?」
しのぶが歓喜の声を出した。
「あの寮、そんなに有名かしら?」
くるみはまだボケている。
「くるみ。取材されるのは、篠原さんよ」
奈々子とはボケ役の朝倉が突っ込む。
「それも半端な数やないで。ウチが十年に一度しか大声出さんのに今日来た連中だけでも騒いでしもうたぐらいや、ざっと見積もっても三十社はいたはずやで」
さすが関西人。
見ているところはちゃんと見ているものである。
「三十!?」
奈々子は声を張り上げしすぎて裏返ってしまった。
その反対に美歌は、
「そんなものじゃないの!?」
意外にさばさばとして平然と聞いていた。
ここでも芸能人の明暗が、国境のように線が引かれていた。
「その全員が宝塚のコーラスのように口を合わせるんや。『篠原瑠伊さんを出してください』ってな。ゾンビよりも不気味すぎて思わず、『本人おらんから、帰ってな!』って言ってしもうたわ」
ケラケラと笑うのも凄いが宝塚のような取材陣にも会ってみたい。




