第五章 現役女子高生、マスコミ登場!? (11)
殺人事件に発展しなくても暴行は行なわれているだろうなとしのぶは思ったが、とっても静かなので目を開けた。
ゆっくりと、ゆっくりと開けて信じられない光景を見た。
「え!?る、瑠伊センパイ!?」
瑠伊が泣いていた。
無表情な真顔だが、その瞳にはしっかりと涙が出ていた。
奈々子も唖然。
美歌も、
「佐伯さん、どうしちゃったんですか?」
瑠伊に直接聞かず、くるみに聞いた。
くるみは瑠伊の涙を拭き取った。
「怖い?一回はテレビに出てみれば?そうじゃないと、このスキャンダルに収拾が付かないわよ」
のほほ〜んとしているくるみの台詞だから重く感じられないが瑠伊はくるみに抱きついた。
「うわあああぁぁぁぁ」
嗚咽していた。
美歌も「そうね」と同意していた。
くるみは瑠伊を座らせて顔を強引に自分に向けた。
「篠原さんが嫌がっているのも普通の世界の生活に憧れているのも分かるわ。ピンチヒッターといえお笑いでウケなければ嫌いにもなるものね」
この時、美歌は奈々子を見た。
奈々子は「あれが私の精一杯だから」というが、
「奈々子ちゃんの漫才のことじゃないわ」
くるみは否定した。
瑠伊は、
「だ、だから... ...、ウケがないからじゃなくて本当に... ... 」
涙で上手く声にならない。
「奈々子ちゃんと渚の為とかで勧めない。おそらく篠原さんは自分の為に漫才をしたことはないはずよ」
「確かに... ...」
奈々子は頷いた。
「くるみさんって予知能力があるの?」
「わ、私に聞かないでよ。でも、当たってはいるよね」
しのぶの言う事も一理あるが立証するのにも時間がかかるのでここでは第六感としておこう。
一同、瑠伊を見る。
瑠伊は、
「なんなのよ、これは!?他人の為でもお笑いが好きじゃないのに、わざわざ自分からしたがるとでも思うのですか!?」
正論で対抗を試みるが、やはりここは亀の甲より年の功。
「興味が無くてもいいの。喋らなくてもいいの。ただ五分間立っていればいいの」
くるみの台詞三連発が見事に決まった。
瑠伊を除く三人は「おお〜」と仰け反るのだが、
「まだ、行くとも言ってません」
瑠伊はなんとか声として聞こえる発声が出来るのが精一杯にまで先程のくるみの台詞が効いていた。
一回、レモンティーを口に含ませた。
レモンの酸味で酸っぱかった。




