第五章 現役女子高生、マスコミ登場!? (10)
だが、それは美歌のぶっきらぼうな台詞で一蹴される。
「前からよ」
三杯目のコーヒーを飲んだ。
その間の瑠伊は未だに怒りが押さえきれない様子であった。
手にしているフォークでさえ、簡単に親指だけで曲げてしまう有様だ。
「なんで!?なんでどいつもこいつも私をお笑いにしたがるのっ!いい加減にしてほしいわよ!受験で頭が一杯なのに、どうしていろんな邪魔が割り込むのよぉ〜!」
キリキリと苛立ちがどうしても隠しきれないようだ。
テーブルに置いてある雑誌を見て、
「パパの身勝手さには目に余るものがあるわっ!受験が終わったら一度だけ帰ってやろうかと思ったけど、やっぱり止める!東大に合格しよーが不合格になろーが家になんか帰ってやるもんかっ!!」
ドオォォン!!
またしても瑠伊が震源地の余震が起こった。
震度三といったところだろうか。
奈々子は呟いた。
「このテーブル、大丈夫かな」
それは保障できない。
「このお皿だって割れないかなぁ〜」
しのぶも同じ事を考えていた。
それだって、まったく保障が出来ない。
「角田さん、明日は欠勤かな」
美歌は別の心配もした。
四人が個々に騒いでいる間にくるみがケーキを持ってきた。
大きなチョコレートケーキだ。
三段積み重なっていた。
「これは、ちょっと... ...」
立ち上がった瑠伊も食べるのに困ってしまった。
同時に頂上のデコレーションを見た。
『祝!芸能界デビュー!!』
しっかりと書かれていた。
奈々子、美歌、しのぶは避難した。
いち早くテーブルから離れたが一向に起こらなかった。
しのぶは瑠伊の肩を叩いた。
美歌は瑠伊の目の前で手の平を上下に振ってみた。
奈々子も瑠伊の顔に息を吹き掛けた。
何も起こらない。
結果。
「感激の余り固まってしまったのね」
「違う、違う」
美歌が慌ててくるみのボケに突っ込んだ。
「え? 違うんですか!?」
「くるみさん... ... 火に油を注いだようなものです」
奈々子にも同意を求めたが奈々子も悲しいぐらいに否定した。
それでもくるみは、
「篠原さん、気に入ったかしら?」
瑠伊に感想を求めたのだ。
瑠伊の首がくるみに向いた。
しのぶは目をつぶって静かに十字を切った。
「どうか殺人事件だけは... ... 」
祈っていた。




