第五章 現役女子高生、マスコミ登場!? ⑶
バシャン!!
「つ、冷たっ」
一太郎が気が付いた。
「なんとか生還したか」
等と、言いつつ。
だが安息の時はない。
ジトォーと瑠伊の冷たい視線が強烈に突き刺さったからだ。
瑠伊の手に持っているのはバケツ。
一太郎にかけたお水は机の上で粋のいい跳ね返りをする色鮮やかなお魚が泳いでいたお水に間違いはない。
無造作にバケツを放り投げる。
そのバケツを隅に置く奈々子。
この二人のコンビネーションも、また絶妙であった。
今はそんなことに感心している暇はない。
瑠伊は、
「パパ。私、もう帰らない。二度と」
穏やかにも聞こえる台詞に怯えていた角田と奈々子は揃って胸を撫で下ろした。
奈々子がドアのノブに手を添えた。
クルと、ノブを回そうとするが回らない。
反対にノブが逆に回った。
そして、聞き覚えのある第一声。
「篠原先輩!ようやく僕とコンビを組む気になったんですね!!」
相沢であった。
また目が点になる三人。
そしてまた、一斉に一太郎を見た。
「いやぁー、彼がどうしてもと。それに彼のセンスは一級品なんだよ」
この場しのぎのような台詞であった。
「社長。どうしても瑠伊さんをタレントにしたいわけですね」
角田が呟いた。
奈々子も言う。
「圭介が言ったんでしょう!?僕は篠原先輩以外の方とコンビを組む気はありませんとか、言っちゃって」
「うっ」
奈々子の一言は、相沢を一歩後退させた。
「あまりにも単純な構図ね」
瑠伊が止めを刺す。
二人は冷汗ものであった。
相沢は部屋に入り瑠伊の剣幕の凄さに圧倒されていたが、
「すみません。まさか、こんなにも怒りを買っていたとは思ってもなかったのです。これも篠原先輩の為と思ったのですが... ...、誠に残念です」
どこか芝居のかかった、わざとらしい台詞を吐く。
瑠伊は「ほぉー」と、相沢を見る。
「私がいつまでも振り向かないから、わざわざ事務所を訪ねてパパと共謀を企てたというわけね!?」
「きょ、共謀なんてしてません!!」
「じゃあー、なんなのよ!?」
一歩大きく、相沢の顔に近付けて聞いた。
相沢は今にも泣きだしそうであったが、
「僕は本気で篠原先輩と一緒であれば純粋にお笑いを極めたいと誓えるんです。だけど売り出すのには、やはりその道のプロでなければ、いくら金の卵のタレントでも売り出し方で大きく変わってしまうんですよ」
その視線の果ては一太郎に向けられていた。




