第五章 現役女子高生、マスコミ登場!? ⑴
次の日、朝倉のお見舞いにきた奈々子と瑠伊は、朝倉が全治三ヵ月で済んだことに安心した。
その後、二人で事務所に来た二人は、とびっきりの驚きととんでもない事を耳にした。
まず、奈々子に言い渡されたのが、
「音楽番組の司会ですか!?」
コンビを解消するのも惜しいので、朝倉が完治するまでの期間限定ということでの仕事であった。
一太郎にしてはよく頑張ったのである。
奈々子も本当に喜んでいた。
一方の瑠伊に言い渡されたのが本当にとんでもない事であった。
瑠伊は呆れてしまった。
そして言った。
「イヤ」
当然である。
「パパを助けると思ってやってくれよ〜、瑠伊ぃぃ〜」
いくら泣き付いても、
「イヤ」
なのだ。
「社長、いい加減瑠伊さんを芸人にさせるのは諦めたらどうですぅー。あのテレビの仕事なら、他の芸人の方を出した方がいいですよぉ〜」
奈々子と朝倉が出るはずであったテレビの仕事をなんと瑠伊にさせると言い出したからだ。
「それに瑠伊さんには無理です。第一、受験生だし、コンビも組んでいないし、本当に無理がある注文だと思いますよ」
奈々子が言わなくても、この男も黙っていないだろう。
「そうですよ、社長。そんなに戻ってきて欲しいんなら、もっと素直に言った方がいいですよ」
何故か水木美歌のマネージャーの角田がいたのである。
角田は続けた。
「それに私にだって、美歌を売り込むだけで毎日が悪戦苦闘なんです。瑠伊さんまでお世話することは到底無理があります」
きっぱりと断った。
そうなのだ。
一太郎は瑠伊のマネージャーに角田を指名してきたのだ。
普通、この業界人であればまるで分野の違うタレントをかけ持つなんて事は無理がありすぎるのだ。
一太郎は一服していた。
瑠伊達に背を向けているのは本人も十分と分かり切っているからだ。
「私、これから予備校に行かないと」
瑠伊は部屋に飾っていた置時計が十一時を指していたことに気が付いた。




