第四章 ども、朝倉渚です。 ⑶
朝倉についてきた瑠伊と桜井は、連れ出された場所に来て言葉を失った。
「日本料亭の店!?」
桜井は建物を舐めるように見ていた。
瑠伊は朝倉が注文をしたメニューに、
「ここ、結構高いんでは」
思わず場違いな言葉が出てしまう。
それもそうだろう、いくら食い倒れの街でもピンからキリがあるし、ピンの方となれば何でも高級になるのだ。
朝倉が注文したのは松坂牛のしゃぶしゃぶである。
しかも、霜降りのしゃぶしゃぶである。
これを見て平気で食べてる方が変だと一般庶民の瑠伊と桜井は思っている。
朝倉は平気で食べていた。
だから余計に戸惑っていた。
朝倉は笑顔で二人に勧めた。
「どうぞ、どんどん食べてください。ここは私がおごりますから。迷惑をかけたしね」
「え。でも、いいんですか? ここ、高いので有名ですよ」
と言う桜井だが、ちゃっかりと箸を伸ばしていた。
瑠伊も箸が出る。
「大丈夫!お姉さんにまかせなさい」
朝倉は自分の胸を叩いた。
「は?お姉さん?」
瑠伊は朝倉を見た。
「あら。私、こう見えても二十一ですよ」
と、実にあっさりと答えるのだ。
桜井は黙って食べている。
瑠伊は、
「えええ〜、二十一歳!?」
驚愕の事実のような扱いで箸が止まってしまった。
「さ、桜井さん。知ってたんですか!?」
隣で食べることに集中している桜井にも聞いた。
桜井は当然のように、
「知ってるもなにも、高校の先輩だった人なんだ」
と、瑠伊に教えた。
おまけに、
「桜井君、私の前の彼氏だったんですよ」
のほほ〜んとした顔で、瑠伊に言うのだ。
「嘘!」
咄嗟に言ってしまった。
「アフロの前だったよね?」
「アフロの前の髪型!?」
瑠伊が見るかぎり桜井はアフロ一直線な奴だと見ていたから簡単に想像が出来なかった。
いや、想像の画像も出ない状態である。
朝倉が言うまでは。
「前は、チキンハートだったわね。実に個性的だと思ったわ」
「チキンハート!? 」
今一度、桜井を見た。




