第三章 酔っても、グチっても.... .... ⑺
一時間後。
テーブルには一ダースほどの空のビール缶が転がっていた。
二人とも完全に出来上がっていた。
目の焦点も合っていない、虚ろな表情をしていた。
辛うじて静香は鯣を噛っていた。
瑠伊も鯣を噛る。
リビングは二人の空けたビールの匂いで充満していた。
「あら、あら。昼間からビールを飲んでいるの」
「んー?くるみさぁん!?」
「まぁー、篠原さん」
「んー?コックぅ〜」
瑠伊と静香は虚ろな目で、くるみの姿が何となく確認が出来た。
二人にすれば、
「あれぇ〜、くるみさぁん、どーしたんでぇすかぁー!?くねくねしちゃってぇ〜」
「何言いっとんね。あ、ホンマやぁ〜。コック、ヨガでも始めたんかぁー」
目の前のくるみが曲がって見えているらしい。
「あら、珍しい。静香さんが酔っているなんて」
「酔ってる?こんなの酔いのうちにならんよ」
静香は言うが実際はかなり酔っているのである。くるみさえも鼻を摘んで二人から離れている。
くるみは思いついた。
「そうね。おつまみ、作ってきますね。ビールだけじゃ、悪酔いしそうですから」
普通、止めないか。
くるみはさっさっと、キッチンルームへ行ってしまった。
「くるみさぁーん。ナマ中、お願いしまぁーす!!」
「まだ、飲むんかい!?」
静香は驚いた。
「うるひゃいわね〜」
瑠伊は管を巻いていた。
おまけに目が据わって、かなり怖いモノなしだという感じになっている。
その間にくるみがつまみのチーズと焼き鳥、そしてアンコールのビールジョッキを持ってきた。
だが疑問であった。
「なんで、三つなんや?」
ジョッキの数が一つ、増えているからである。
「私も御一緒したいなぁーて」
くるみはすぐに答えた。
「くるみさぁーん、私の話、聞いてくれるんれぇすかぁー!?」
「ええ。静香さんはどうせ競馬でしょうから」
「おいおい。ウチはほったらかしかいな」
「違うんですか?」
くるみの質問に黙り込んでしまった静香を余所に瑠伊はチーズを食べる。
そして喚いた。
「絶ーーーー対、納得いかない!!」
ドォン!
テーブルを叩く。
次には泣きだしていた。
「私らって、普通の生活の期待、してたんだから。なのに、どーーーして! ねぇー、どーーーーして、私が漫才しなきゃいけないのよ!!」
「お、落ち着け、受験生!!」
静香の襟を鷲掴みしていた瑠伊の手はすぐに放れた。
「こいつ、酒癖悪いわ、コック」
「そのようですねぇー」
二人とも、焼き鳥を頬張る瑠伊の動向を観察していた。泣いたり、怒ったりと忙しい程の表情を見せている瑠伊は二人に聞いた。




