第二章 ようこそ! ユメノ荘へ (15)
その十分後。
「このユメノ荘に住む事になった、新しい仲間を紹介しよう」
内村が瑠伊へ視線を向け、寮にいる皆に言うた。
瑠伊も思わずてれて、
「初めまして、皆さん。篠原瑠伊です。高校三年で、一応、東大を目指してます」
まるで転校生の気分になった。
パチパチと握手を貰うのも定番に近い。
「それじゃ、パーティーを始めようか」
内村の合図で、和気あいあいの食事と歓迎の宴が始まった。
出された料理に舌鼓する人、お酒を飲み荒らす人はいたが、やはり主役の瑠伊を取り囲んでいる。
まず、近寄ったのはくるみだった。
「初めまして、篠原さん。佐伯くるみといいます。一応、何でも作れるコックを目指してる、二十二歳です」
くるみはにこやかだが、お酒を飲んでいるので今はもっとにこやかである。
「じゃ、次は俺ね。俺は桜井、桜井隆司。二十歳だよ。イラストレーターを目指しているんだ」
桜井は鮪を避けながら瑠伊に紹介した。
その次に来たのが、この関西弁の女だ。
「よぉー、アフロ。やはりキュートな美人には弱いんやな、この女好きめ!あ、ウチかい!?ウチは紺野静香。十九でフリーターしてるんよ、受験生」
「受験生!?」
瑠伊は戸惑った。
「そや、ニックネームや。ウチは皆にあだ名を付けるんが得意やねん。ちなみにくるみはコック、桜井はアフロ、内村は画伯、奈々子は漫才師といった具合にな」
静香の説明で理解は出来た。
でも、瑠伊は思ったことだろう。静香の口調を真似したら、こんな風に突っ込みたくなる。
そのまんまやんけっ!!
これに尽きることだろう。
そこへ、少し若い男の声が瑠伊の耳の飛び込んだ。
「あれ?もう始まってるの!?やあ、貴女が新しい人ですね。初めまして、相沢圭介です。十六才の高校一年です」
「は、初めまして。篠原瑠伊です」
この時、瑠伊は気が付いた。
『あ!確か客席にいた!!』
相沢の着替えもしていない服装で一発で分かった。一方の相沢は、奈々子と漫才しているのが瑠伊という事実を知らない。
「篠原さん、いや、篠原先輩はナナの幼なじみなんですよね」
「ええ、まぁーね。ナナちゃんの紹介で、この寮に引っ越すことにしたの。家じゃ、ロクに受験勉強が出来る環境じゃないから」
と、ここまでは普通の会話で、このまま終わるのかと側で聞いていた奈々子は思っていた。




