第二章 ようこそ! ユメノ荘へ (13)
しのぶは、
「内村さん、何処で会ったんだろう!?」
誰も聞こえないほどの声で呟いた。
しかし、すぐにくるみの声が飛び込んできた。
「それじゃ、このソーセイジをボイルしてくれる!?」
くるみにも三人の姿が見えているが、今まで思考中だったから眼中になかった。冷蔵庫から取り出し、
「お願いね」
と、呆然と立ち尽くすしのぶに持たせた時点で内村が話し掛けた。
「やあ、くるみさん。今晩は豪勢ですね」
ワンテンポ、遅れる。
しのぶを見て、そして内村をじっと見てから、
「そうなんですよ、内村さん。新しい方がいらっしゃるから歓迎の意味を込めて」
と、答える。
内村はそんなくるみに微笑み、
「それなら、屋外でやりましょう。その主役も到着しましたから」
とんでもない提案をした。
それを聞いていた奈々子が、
「う、内村さん。屋外といっても支度に時間が」
慌てて物申すが、所詮内村とは役者が違っていた。
内村は言う。
「なぁーに、ここにいる五人で用意ぐらいは出来るよ。それにここは、元々温泉旅館だから外灯に手を加えなくても十分に明るいはずだよ」
「それはそうですねぇ〜。それならお食事の趣向も変えましょう」
「うん、そうだね。思い切って、バイキングにしてみては!?」
「なるほど。いいアイディアですね、内村さん」
「でしょう」
あはははと内村とくるみの二人で微笑ましく話している最中に、
「あのぉー、奈々子センパイ」
しのぶが奈々子に話し掛けてきた。
「なぁーに、しのぶちゃん」
「後にいる女の人、ですか! 」
しのぶの視線は瑠伊に向けられていた。
瑠伊も物珍しく見るしのぶに気が付いていた。
「う、うん」
奈々子は二人の間に立つ格好で瑠伊を見せた。
瑠伊も、
「初めまして。篠原瑠伊です」
奈々子が紹介する前に握手するように右手を差し出した。
しのぶも頬を真っ赤にして、緊張している趣で、
「は、初めまして。ま、牧野しのぶといいます!十四歳です」
固そうにも挨拶をした。
「よろしくね、しのぶちゃん」
「はい、瑠伊センパイ」
瑠伊は眼鏡を外した。
これにもしのぶは驚いた。
思わず、
「素顔、綺麗ですね」
呟いた。




