第二章 ようこそ! ユメノ荘へ (11)
「まさか、バス停の真後ろにショピングセンターがあったなんてね」
最初に口にしたのが、奈々子であった。
「知らなかったの!?今までに行ってみたことは!?」
牛乳ビンの底蓋のような眼鏡で英単語の単語帳を見ている瑠伊は、物静かに奈々子の相手をする。
「ないですよ。普段はずっと大阪じゃないですか」
「それもそうだったね」
瑠伊が最後の一枚を捲った時、
「いやー、待たせたね。はい、ソフトクリーム。瑠伊ちゃんも一息つこうか」
内村がビニール袋を両手に抱えてきた。
そして、奈々子と瑠伊の二人に百円程度のソフトクリームを手渡す。内村自身もソフトクリームには違いはないが、
「今日は抹茶の気分だよ」
あまり人気薄の抹茶味のソフトクリームを舐めていた。
と、五分後。
「来たみたい」
この中ではおそらく、一番のド近眼の瑠伊が一台のバスが向かってくるのを発見した。
次に奈々子が確認をして、最後に食べ終わった内村が、
「食べるの早いなぁー、二人とも」
手をかざしていた頃には、バスが止まっていた。
「ほらほら、内村さん。早く乗らないと。」
ドアに立っている奈々子が、内村を急がせた。
「お。何時の間に」
「とっくに来てました」
「そーか、そーか」
こんな調子で内村も乗り込み、最後列に座ったところで内村は二人に言った。
「あ、そうそう。二人ともアイスのことは寮には内緒な」
合掌合わせをして頼み込んだ内村も、それを聞いていた二人も一斉に笑いだした。
一行はこうして再び寮へと向かった。




