第4話 さっそくピンチ!
本日Twitterアカウントを作成しました。
あらすじの最後にもURLを張りましたが、ここにも張っておきます。
https://twitter.com/flourtiger
試着室に入ったはいいが、なんか急に体がだるくなった気がする。
頭がふらふらしてきた。
とりあえず着替えよう。
不思議なものだ。魔法で作ったはずのものなのに、本物の服みたいに脱げる。これだったら服をいくらでも作ることができるじゃないか。
そんな簡単なことじゃないと思うけど。
この予感は後程的中することになる。
今彼は下着のみという格好だ。もちろんそれは着替えるためである。だが彼は今ものすごくふらふらした様子で着替えようとしている。
バタッ
何かが突然倒れたような音がした。星羅はというと、試着室の中で意識を失って倒れてしまっている。
ここまでの間、プリムはずっと星羅が入った試着室の方を見ていた。気になってしょうがないみたいだ。
そして今、その試着室から大きな音がして、心配になって中を覗こうとしている。
周りから見ると、これはある意味犯罪行為かもしれない。なぜそこまで心配になるのだろうか...?
「星羅、セイラ、どうしたの?さっきなんか大きな音がしたけど大丈夫?」
「・・・」
「なんか返事をしてよ。ほら、ドア開けるわよ。」
プリムは星羅が意識を失っているよりも、その格好に驚いた。いや、そんな場合じゃない。早く助けを呼ばなくては。
「ちょ、だ、誰か、人がた、倒れてるわよ」
結構焦っている。だって、さっきまで元気に話していた人が一瞬にして、倒れてしまっているのだから。
・・・・・・
どのくらい時間がたったかはわからない。でも、僕は今どこか違うところで目を覚ました。ここはさっきの試着室じゃない。
僕はいったいどうしていたんだ...そうだ、なんか急にふらふらして、倒れたんだっけ。
あれ、それなら誰がここまで連れてきてくれたんだ?
あ、そうか、プリムか。だったらあとでお礼を言わなくちゃ。
でも確かプリム、僕の方向いてなかったよな。なんで僕が服を買って試着室にいたことが分かったんだろう。
こんなことを考えながら、星羅は意識を取り戻した。
「あ、星羅、やっと目を覚ましたのね。いったいどうしたのかと思ったわよ。」
「ああ、おはよう...?そういえばぼくどのくらいの間寝てた?」
突然の声にこんな変な返事しかできなかった。この時間に「おはよう」、そんなわけがない。
「おはようじゃないわよ。今は午後の4時よ。あんた5時間も目を覚まさなかったのよ。」
「え、そうだったの。それは心配をかけた。ゴメン...」
「なんか寝てる間に突然しゃべりだしたりもするから何度もびっくりさせられたわ。それより今は大丈夫なの?」
「今、うーん、まったく問題ないかな。」
「よかった」
彼女はそっと胸のなでおろした。
「あ、早く医療魔術師の先生を呼ばないと。」
そそくさとプリムは部屋から出ていき、あっちの世界で言う病院の先生みたいな人を呼びに行った。
一分もしないうちにプリムが誰か一人を連れて部屋に入ってきた。
「君は、ヒイラギ セイ...」
「柊星羅です。」
「そうそう。それで、セイラ君、君はもう大丈夫みたいだけど、本当に大丈夫かい。」
「はい」
「私はマリル・セレンだ。この町で医師をやっている。本来ならば私が君の面倒を見ているところなのだったが。そこの彼女が代わりにずっと見てるって言ってね。感謝した方がいいぞ。」
「え、あ、先生、そんなこと言わないでくださいよ。」
またプリムが顔を赤くしている。いったいどうしたのか。
軽く咳ばらいをして、再び話し始める。
「そうよ、私がずっとあなたのことを見ていた...違う、監視してたの!」
「監視ってなんだよ。それよりも本当にありがとう。」
「・・・」
彼女は何も言わず部屋から出て行ってしまった。
「本当に二人ともいいわね~」
「何がいいんですか?」
「単なる独り言よ。それよりも、あなたが倒れていた原因だけど。解析魔法を使って分かったんだけど、魔力切れだったのよ。何か心当たりある?」
「魔力切れ?そんな心当たりないな。あるとしたら、自分に魔法をかけながら試着室に入って着替えようとしていて、少ししたら気を失ったてことしか...。」
「それよ!」
突然セレン先生が何かひらめいたように反応した。
「この町、いや、この国全体かもしれないけど、ここだと試着室には防魔魔法が張られているのよ。他国からの諜報部員などがあの小さな部屋で魔法を使えないようにして、活動を妨害するためにあるの。あんな小さな部屋って隠れる場所としては最適でしょ。ま、これは建前であって、魔法で覗きをしないようにってのもあるけど。」
「はあ、それでも僕は数分の間、魔法が使えていましたよ。」
「やっぱりそうだったのね。これで説明がつくわ。」
「説明?何がわかったんですか?」
「このことはさっきの子も含めて一緒に話しましょう。あなたもおなかがすいてるでしょう。何か軽く食べながら話しましょう。プリムちゃーん、星羅も含めて大事な話をするから部屋に戻っていらっしゃい。一緒に何か食べながら話しましょう。」
「ちゃん付けはやめて!それよりも早く食べましょう。あたしもさっきから何も食べてないのよ。」
プリムが部屋に戻ってきた。あ、今は普通に見える。
「今から用意するわ」
先生がそう言い、指を鳴らした。
パチーン
なんだなんだ、人がたくさん入ってきて、何か大量の食べ物を運んできたぞ。
「さ、みんな座って。」
この掛け声で、僕も含め三人が丸いテーブルを囲んだ。
この量は三人にしては多すぎじゃないのか。
そういえばここは「しょくの異世界」だったっけ。このしょくって「食べ物」の意味もあったのかな。この世界はいろんな種類の食べ物があり、一度にたくさん出して、それぞれを少しずつ食べるとか。まるで僕のいた世界の貴族だな。いや、今は貴族なんていなかたっけ。
それにしても、色もカラフルだな。青とか絶対食べたくない色だよ。色と食が混ざると結構僕にとっては大変な世界だな。それに「しょく」はほかにも意味があるってことかな。
まあ、まずはこの食事だ。僕が見たこともないものがほとんどだ。
「これは何ですか?」
「これかい、結構安い料理に目を付けたもんだね。これは『ラミ肉の炒め野菜』だよ。」
「ラミ肉って何ですか?」
「そんなことも知らないのかい。ラミは最下級魔獣の名前だ。その肉を使った炒め物ってところかな。」
「へー。魔獣の肉ね。どんな味がするのか...だったらこれは何ですか?」
「これはプレアドの実を蒸したものかな。これは結構甘くて後味もいいからおすすめの料理に入るよ。」
「それ私も好き。」
どうやら、これはこの国でよく食べられるらしいな。このプレアドの実って、日本で一回だけ見たことあるひょうたんのような形してるけど、違うのかな?
「さて、食べ物の紹介はそろそろやめて、本題に入ろうか。」
「あ、そうだった。」
僕もプリムも完全に忘れてた。僕のことについての大事な話。
何だろう?
「単刀直入に言うと、セイラ君、君は古代魔法の使い手だということだね。」
「古代魔法?」
「古代魔法!」
僕はわけもわからないように聞き返し、プリムは驚くように反応していた。