第3話 謎の声からのプレメリアヘ あ、服が
今がどんな状況かというと、謎の声が僕の頭の中に語りかけているというところだ。
ちょっと待て、この声ってまさかあの人...
「あなたはこの前まで僕が働いていた会社の社長さんですか?」
「それはどうかな」
「いやその声は絶対に...」
「それよりも早くも任務遂行というところだな、さっそく一人の名も知らない女の子に対してかっこいい姿を見せようとして。」
「いやそんなつもりは、というかどうしてわかるんですか?」
「さあ、ではまた会う時まで。そうそう、任務の期限は1年後だからな。ではまたあとデー」
「え、ちょっと待って。」
この後いくら頭の中で叫び続けても返事が返ってくることはなかった。もちろんこの声は頭の中で話している。なんだか不思議なものだが、この子にはこの会話の内容は伝わっていない。
「結局何だったのよ。」
「いや、僕の気のせいだった。」
「本当に?」
彼女はジーと僕の顔を除いてきた。怖いな。
この子ってホント気が強いな。さっきから思ってたけど。
待てよ、さっきからこの子って言ってるけど、本当に年下なのだろうか。
いや、決してロリコン趣味じゃないけど。
「君って何歳?10歳くらいに見えるけど。随分と若そうなのに冒険者になりたいの。」
「10歳ですって。よく言われるのよ。私はもう14歳。プリム・ネレン・バレトリアよ。プリムと呼びなさい。そういえばあんたの名前は何?」
「僕の名前?僕は柊星羅。それよりなんで苗字で読んでほしいの?」
これは別に名前を聞き出して口説こうってわけではないぞ。
「苗字?私の苗字はバレトリアよ。何を言ってるの?」
「そういうことか、それなら僕は『星羅 柊』と名乗ろうかな。星羅って呼んでいいよ。」
「あんた不思議な名前ね。わかったはセイラ、さっき冒険者じゃないって言ってたわよね。それってどういうこと?」
「どういうことといわれてもなあ~」
ここでどこか別の世界から飛ばされたといっても通じるわけがない。
「最近この辺に来たばっかりだから、冒険者にまだなってないってところかな。」
あーしまった、僕はこの後冒険者にならなくてはならないのか。
「まだってことはちょうどいいじゃない。一緒に冒険者登録をして、同じグループになりましょうよ。いいわよね?」
結構強気で来たな。これは断れない。
「わかった、一緒に登録しよう。」
言ってしまった。それよりもさっきの謎の声で思い出したよ。「嫁を6人作る」任務を。冒険者になってこの任務とやらを達成できるのか。まずこの任務ってのがよくわからないし、さっき期限は1年とか言ってたけど。
「それよりプリム、君は何で冒険者になりたいの。」
「それは私個人の事情よ。そんなことあんたに話すわけないじゃない…いや、あんたなら話してもいいかも。」
起こると思ったら話してくれるとは。いったいどうしたことか。
「数日前に私の母が死んだの。そのあと父に教えてもらったの。私が両親と思っていたたった二人の家族はまったくの赤の他人ということを。とても悲しかった。でも、これでわかったの。人に頼ってばっかじゃダメということを。私は冒険者になって今よりも強くなって、世界中を回って本当の両親に会いたいの。」
「そんな理由があったのか。」
こんな話をしながら歩いていたら運よくほかの魔獣ににも合わずに目的の街と思われる街につくことができた。
プレメリアと書いてある。
冒険者ギルドはどこかなあ~
それよりもどんなところかもわからないや。
このあと5分ぐらい歩き回ったがギルドらしき建物は見つからない。それよりもなんてこの町は大きいんだ。端が見えない。
ふと思ったがここって日本のような街並みじゃないな。いったことはないがヨーロッパのあたりってところかな。文字は全く読めないけど。
「この文字はなんて言語なんだ?」
「これ、セイラ、この文字がなんだかわからないの。これはクヨシ語よ。」
「僕はこんな文字を使ってるんだ。」
試しに僕の文字を漢字書いてみた。
「これで星羅って読むよ」
「そうなの。わかった、覚えたわ。」
待てよ、僕は何で空中に文字を書けるんだ。
こんなことを考えてるうちに新たなことに気づいた。自分はなんてバカだったんだと思うようなことで今の疑問は吹っ飛んだ。
このクヨシ語ってのを読めたらって考えれば何か起こるんじゃないかってことだ。
「無の基、言語解読せよ。リード、クヨシ。」
おお、なんてことだ、一瞬にしてこの文字が読めるようになった。ひょっとしてほんとに僕は考えたことが何でもできるのだろうか。試しに元の世界に戻れたらと考えてみた。
・・・
何も起こらないか。
「プリム、僕この文字読めるようになったよ。」
「え、どうしたの。何をしたの。」
「うーん、魔法を使ったっていうのかな。」
「魔法、そんな魔法聞いたことないわよ。そんなことより冒険者ギルドが見つかったわよ。」
目の前にギルドと書いてる建物があった。本当にゲームの中の世界みたいだな。
「早く入りましょう。早く冒険者登録をしたいわ。」
プリムの言葉に押されて僕も建物の中に入っていく。
カウンターの方を見てみると、何やら九つの宝石のようなものがついた高い筒のようなものがたくさん立っていた。
あれは何なのだろうか。
カウンターの方にあるのだから、登録のときとかに使うのだろうけど。
ここで僕は大変なことを思い出した。今のこの姿って周りから結構浮いてるなーって思ってたっけど、これって確か魔法によるものだったよな。ってことはもし魔法が切れたら僕は今裸ってことか。これはまずい。
運がいいことに建物の奥の方を見ると小さな店もあった。
どうやら服も売っているようだ。早く着替えなくては。
「プリム、ちょっと待ってて。買うものがある。」
「え、待って。早く登録を。何よ、星羅ってば。」
彼女が言っていた言葉は僕に聞こえたが今はそんな言葉を気にしている余裕はない。そうでもなければ僕は変質者扱いされる可能性がある。
僕は服を適当に選び、試着室の中へ入っていった。
いよいよ魔法もかかわってくる展開になりましたね。
僕もこれからの展開が楽しみです。
今日はこれくらいで投稿はやめときます。
明日以降またお願いします。