第1話 さあ、「しょくの異世界」へ
「今月限りで君はこの会社を辞めたまえ。」
突然の言葉に主人公、柊星羅は動揺を隠せなかった。
社長が急になぜ。まさか、、、
彼は16歳。本来ならば高校一年生だ。
本来ならばというのは、彼の両親は一年前に亡くなっていて、現在は年齢を偽装してある大手企業で働いているからだ。
「君は年齢を偽装してこのかいしゃではたらいていたね。この処罰は当然のことだ。」
「いや、そのようなことは...」
「言い訳は無用だ、詳しいことは明日話す。退出したまえ。」
「待ってください、どうかこの会社で働かしてください。お願いします。」
「そんなことができるかは自分に聞いてみなさい。」
僕はしょうがなく社長室から出た。
これからの生活はどうすればいいのだろう。
そんなことを考えながら彼は明日になるのを待った。
12月15日、星羅、彼の誕生日である。そして、彼の人生の分かれ道の日でもある。
彼には今日を祝ってくれる人もいない。こんな孤独な生活の中でも星羅は生きようと頑張っている。
そう、両親と約束したこと。将来結婚して孫を見せることだけに。本当に不運な子供である。
この運のないところにもう一つ絶望的なことがある、それは顔がそこそこ良いのだが全くモテないというところだ。
重い足を引きずりながらも出勤した。いや、今はもう出勤とは言わず、訪問なのだろうか。そんなことは関係ない。どうにかしてでも今日を乗り越え、偽装してまで働いた努力を無駄にしないようにしなければ。
会社につき、ビルの最上階である49階、社長室のある会へ直行した。
彼が働くのは18階、だが今日は事情がある。
コンコン
「失礼します」
「入りたまえ」
「...どうか会社を辞めさせることだけはやめてください」
「焦らずにいろ。まあ、まずはこのお茶を。」
「は、はあ~」
この社長はいったい何をしたいのだろう。とりあえず出されたのだし、お茶を飲むか。
ズズズ 意外とおいしいな
「君の近辺の情報は知っている。両親が一年前に亡くなり、さぞかし大変だったろうな。孫の顔を見せたいというのはわかるが、法を犯してまで金を稼ぎ、自立しようとしていたのは誉めてやろう。」
「ありがとうございます...え、なんで僕の約束を知っているのですか?」
「そんなことは気にするな。それよりも、孫の顔を見せたいのだろ。犯罪者を雇うわけにはいかないからこの会社に君を置いておくことはできない。だが、これからもがんばれという意味で、転職先を紹介してやろう。今すぐにもそこに行けるぞ。」
「そんなことをしてくれるのですか。でしたらお願いします。」
この時、社長は何かうれしさのこもった、また、何か悪意のこもった顔をしていた。
僕はこれに気づいたが、うれしさのあまりのちにつながるこのかをの真実を探ることをしなかった。
「そうか、では転職先は...異世界だ」
「はい。え、、、今何と!」
「だから、異世界だ。この世界からは『しょくの異世界』とも呼ばれているな。君にはそこに行ってもらう。」
僕は死んだ魚のようにボーッとしていた。いったいこの社長は何を言っているのだ?
「君が行くといったのなら話は早い。そうそう、そこでの任務を教えてやろう。『嫁を6人つくれ』だそうだ。」
「6人!何を!」
「無駄口はいい。ほら、さっさと立て。」
「え、何をするの。」
突然のことに社長に敬語で話すことも忘れてしまう。
「さっきお願いしますといっただろう。今からお前をてんしょくさせてやるのだ。」
「お願いします...?さっきのはそういう意味では...」
こんな言葉も関係なく、部屋には魔法陣のようなものが広がっていく。ようなものというのは僕は実際には見たことはないからだ。でも確かに魔法陣のようなものだ。
ここで大きな見落としがある。社長は魔法のようなものが使えていて、いったい何者なのだ?
この疑問に彼はたどり着くことはなかった。
「最後に言いたいことはあるか。」
「最後。これは本当なの。えーと...」
「じれったいな。はやくせい」
「だったら、どうか僕がモテますように」
「そうか、わかった。では、また会うトキまd...」
社長の声は一瞬にして消え、周りは線香花火のようにまばゆい光に包まれた。
まだ周りはまぶしい。星羅は目を閉じ、一つ考えた。
これが夢でないのならば、さっき社長が紙で見せてくれた「しょくの異世界」とは何だろう。
しょく...しょく...しょく...
食べるのしょく?
色のしょく?
職業のしょく?
触るのしょく?
何のことだろうか?
こんなことを考えていたら、あたりはどこかの平原になっていた。
「ここはどこだろうか。本当に社長の言っていた異世界なのだろうか。」
疑問を浮かべながらあたりを見渡してみる。
・・・・・・・・・。
何もない。
ただ一つ気づいたことがある。
ここが草原だとわかったのは寝ていた時の感触からわかった。しかし、この草原は「緑」じゃない!
何色だって?
それはカラフルとしか言いようがない。
しょくの異世界とはカラフルな世界ということか?そこを除けばこの世界は前の世界を変わらない。いや、この世界が本当に異世界なのだとすればの話だ。
星羅は唖然として立っている。さっきからずっとだ。ここがどこなのか、そして何のために来たのか。この時点で彼は何もわかってはいなかった。
そう、ここから彼の新たな生活、そして彼には無理に思えるあの任務、「嫁を六人作る」ということが始まるのである。
転職先は「しょく」の異世界、本日、2017年10月17日より書き始めました。
まだまだ話はこれからです。
週に一度は話を更新していきたいと思いますので、今後も私、華虎シュンをよろしくお願いします。