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アウトコレクター  作者: 一ノ瀬樹一
第四章 弁天堂美咲と円環世界
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弁天堂美咲と円環世界《トラースワールド》08

 努力は必ず報われる――。

 精神論を語っても、結果は必ずついてくるとは限らない。もっとも、報われるまで努力をするからこそ、この言葉が意味を持つのでしょう。


 しかし、私は思うのです。結果が見えていても、努力は必ず報われるのでしょうか?


 私は、目覚まし時計を止め、そんなことを考えていました。


 しおりは、小説の五十六ページに挟んであった。

 やはり、ループ現象は解決されていなく、私はため息をつきました。

 すでに、ループ現象は六十八回目となり、私の努力が報われることがあるのか――と、先程のようなひねくれた考えをしてしまいました。


 しかし、私もできる限りのことは、やってきたつもりです。原因となり得ることは、すべて回避してきましたし、考えられるパターンとルートを試しましたが――、結果はご覧の通り。


 一体、いつになったら、この地獄のようなループ現象は解決するのでしょう。

 私は、折れそうになった心を奮い立たせて、六十八回目の昨日を繰り返します。


 まずは、学校へ行くか、行かないか?

 すでに登校しない選択は八回していますが、ほとんどの人と関わらないため、これは得策では言えません。

 また、学校へ行かずに、例のカフェへと行きましたが、まゆりさんと西園寺さん以外はカフェにいましたが、何も起きず結果も出ませんでした。


 まあ、学校に行かなければ、色々なことをキャンセルしてしまっているので、結果が出るわけがありません。

 とりあえず、考えていても、何もしていなくてもお腹は空くので、朝食を取ることにしました。


 パンにバターを塗って、朝食を取ります。

 その間、お母さんが例の如く、進路についての話をしますが、私は完全に上の空でした。


 それにしても……。このバターを塗っただけのパンは、実に味気ないものです。いつもは、お母さんの手作りマーマレードを塗って食べているだけに、何かもの足りません。

 そう言えば一度だけ、放課後学校から帰って来て、マーマレードをパンに塗って食べましたが、やはり変化はありませんでした。


 あーあ。マーマレードが食べたいな――などと思い、家を後にしました。


 ホームルームでは、右のくじを選び、わざとハズレを引くのが習慣になってしまいました。当たりが、解っているくじほどドキドキしないものはありません。一回くらいは、右に当たりがこないものかと思っいましたが、ループ現象にイレギュラーなことはなく、左が当たりなら左にしか当たりはきませんでした。


 まあ、ループ現象なので、当然と言えば当然なのですが、すこしぐらいは変化が欲しいものです。同じことを繰り返すことは、この上なく退屈で仕方ありません。

 ゲームの同じ面を、ずっとプレイしているのように、一つの曲をエンドレスで聞いているように、こんなにも同じ昨日を繰り返していると、そろそろ私の精神も限界を迎えそうです。


 どうせ、放課後に行くカフェでも、同じことを繰り返すだけなのでしょう。

 

 あれ?


 ちょっと待ってください。

 ………………。

 …………。

 ……。


 同じことを繰り返す?


 ループ現象も、六十八回目ともなると、色々ことを覚えています。当然、朝起きてから、夜寝るまでの間に起こることはすべて記憶しています。


 ホームルームでのくじが、必ず左に当たりがあるように、このループ現象にイレギュラーは存在しない。

 しかし、一つだけ。私の記憶違いでなければ、イレギュラーが存在していました。


 これでループ現象が解決すれば――と思い、放課後まで時が進むのを待ちました。


 そして、放課後。

 何度も来た、カフェへと向かいました。

 

 「ごめん、お待たせ」

 「あら、ずいぶんと早かったのですね。用事は済んだのかしら?」

 「ええ、大丈夫。さあ、中に入りましょう」


 私はある用事のため、まゆりさんたちとはカフェで待ち合わせをすることにしました。律儀にも、私が来るのを待ってくれていたようで、その間、まゆりさんと西園寺さんが喧嘩をしていなかったことに、胸を撫で下ろしました。

 

 店内は、相変わらず例の顔ぶれで、女子高生グループ。OL風の女性。中年男性と、マスターとウエイトレス二人。

 そして、店内を見渡すと、私が感じていた違和感が、やはりイレギュラーであったことを確信したと同時に、このループ現象の元凶、トリックスターを見つけたのでした。

 私は一直線に、トリックスターのもとへと足を運びました。


 「はじめまして、あなたがトリックスターですか?」


 さて、今回は迷斎さんがいないので、私が代わりに叫びます。

 心の中で……。


 さて、噺の終演を迎えるとしよう――。

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