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アウトコレクター  作者: 一ノ瀬樹一
第三章 弁天堂美咲と幻獣
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弁天堂美咲と幻獣《ミスティカルビースト》 08

 後日談。

 迷斎さんは、すでに二角獣バイコーンと話をつけていたようで、横には二角獣バイコーンがいました。


 「先に言っておくと、コイツの正体は麒麟だったよ」

 「麒麟? あの麒麟ですか?」

 「ああ、そうだ。どうも気にはなってはいたんだよ。気高き二角獣バイコーンが、人間に従うなんて話は聞いたことがないからな。それで、調べてみたら麒麟だったって訳だ」


 麒麟――。

 霊獣や神獣と呼ばれ、古くから人間と関わりを持つモノ。


 西園寺さんの出会ったモノは、麒麟だと迷斎さんは言います。


 「それがどうしたの? 麒麟だからって何か変わるの?」

 「大ありだよ。二角獣バイコーンは、不純なものを好むが、麒麟は別だ。ましてや、君が出会ったのは純白を意味する索冥さいめい。だから、君は不純ではないのだよ」


 迷斎さんの言葉に、西園寺さんは涙を流し、その場に崩れました。子供の様に、泣きじゃくる西園寺さん。その涙一つひとつに、心の中の不純物が混ざっているかのように、西園寺さんの表情には穏やかさが顔を出しました。

 しばらくすると、迷斎さんは西園寺さんに語りかけます。


 「さて、では別れの儀式を始める」

 「別れの儀式?」

 「ああ、麒麟をいつまでも傍らに置いて置くわけにはいかないだろう? それに、君にはもう麒麟は必要ないだろう?」

 「はい」


 迷斎さんが、麒麟の額に手を当てると、体から光の粒を放ち薄っすらと消え始めました。


 「今まで、ありがとう……」

 「何時デモ、主ト共ニイルヨ」


 優しい言葉を最後に、麒麟は私たちの前から姿を消しました。


 その日の帰り道。

 スッキリした表情の西園寺さんと別れ、私は迷斎さんと屋敷へと向かう途中。私は迷斎さんに、質問をしました。


 「迷斎さん。西園寺さんは大丈夫でしょうか?」

 「大丈夫? 一体何がだ?」

 「不純ではなかったとは言え、生きる気力を取り戻せたのでしょうか?」

 「弁天堂。純水は体に悪いって知っているか?」

 「そうなんですか?」

 「空気も、酸素だけになっては、人間は呼吸さえ出来ない。何かが混じっていることで、本来の状態を保てるのだよ」

 「それと、西園寺さんと関係があるのですか?」

 「西園寺の不純は消えたわけではない。あれは、不純なモノを受け入れる気持ちが芽生えただけだ。つまりは、何も解決はしていない――」


 迷斎さん曰く、麒麟は西園寺さんの不安定な気持ちが生み出したモノであるそうです。


 高校入学と同時に、自分を変えようと思った西園寺さん。しかし、そんな西園寺さんの過去を知り、邪魔をしていたのが小倉台さんでした。

 小倉台さんは、中学時代の西園寺さんと面識があったようで、その時暴力を振るわれたことを根に持っていたようです。過去のことをバラされたくなければ、言うことを聞け――と、脅されていたようです。


 そして、心のバランスが崩れ、麒麟を生み出してしまったのでした。


 「まあ、受け入れる気持ちがあれば、何とかやっていけるだろう。私には関係のないことだが……」

 

 受け入れる気持ち――。

 つまりは、気持ちが大事だと、迷斎さんは教えてくれました。

 純粋で在りたいと願うよりも、不純であることを受け入れることの方がより人間らしくあり、不純であるからこそ純粋で在りたいと自分を律することができる。

 それが人間の強さなのだと、私は思いました。


 「ところで弁天堂?」

 「何でしょう、迷斎さん?」

 「ユニコーンは、弁天堂にこそお似合いだな」

 「何ですか?」

 「ユニコーンは、処女が好きだからな」


 こんなオチで、よろしいのでしょうか?

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