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アウトコレクター  作者: 一ノ瀬樹一
第三章 弁天堂美咲と幻獣
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弁天堂美咲と幻獣《ミスティカルビースト》 01

 西園寺結愛さいおんじゆめ

 私のクラスメートであること以外、私は彼女のことを知らない。どこのクラスもいる、控え目な彼女はあまり友達と話している姿を見かけない。休憩時間には、決まって本を読んでおり、誰も寄せ付けないオーラを放っている。


 私も、席替えの時に隣の席になったことはありましたが、あいさつ程度の会話しか記憶にありません。別に彼女のことが嫌いというわけではありませんが、何と言うか――誰も寄せ付けないよう、バリアを張っているもで誰も近寄ろうとはしません。


 「西園寺さん? ああ、西園寺さんね。美咲さん、西園寺さんとお友達でしたかしら?」

 「いや、友達ってほどではないけれど、ちょっとね」

 「怪しいわね? 美咲さん、まさか西園寺さんのことが好きなの? 押し倒したいの?」


 放課後の教室。数名の生徒が残る教室で、私はまゆりさんと雑談をしていました。今日は、迷斎さんの屋敷でのアルバイトが休みの日なので、放課後はまゆりさんとどこかへ寄って帰ろうと約束していました。


 そんなわけで、どこか寄って行こうか話しているうちに、クラスメートの西園寺さんの話題に――。


 「ちょっと、まゆりさんはすぐ押し倒すとかの話に発展するんだから」

 「仕方ないでしょう? だって美咲さんの初めては、私が貰うと決まっているのですから」

 「初めてって――、ちょっとまゆりさん、何を言っているの?」

 「あら、美咲さんはまだでしょう? 私は鼻を見れば、その人が経験済みか未経験か解るのよ」

 「ちょ、え、え!?」


 思わず、鼻を手で隠してしまいましたが、私が未経験なのがばれてしまったでしょうか?

 まゆりさんの能力に驚きはしましたが、それよりもまゆりさんには以前から、疑っていることがあるのですが――。


 「まゆりさん、変に思わないでくださいね。もしかして、まゆりさんて――」

 「ええ、そうよ。私、レズですの。それに、美咲さんのことが――好きよ」

 「好きって、まゆりさん。そんな大きな声で言ったら、誰かに聞かれちゃうよ」

 「聞かれて結構ですわ。好きなものを、好きと胸のを張って言えない方が、私は間違っていると思うの。好きよ――美咲さん」


 胸のに突き刺さる、素敵な告白でした。それが、男性からではなく、まゆりさんからの告白であることが、私は悲しくてなりません。


 とにかく、ここはまゆりさんが暴走する前に、話題をかえることにしましょう。


 「それで、まゆりさんは西園寺さんと、話しをしたことはありません?」

 「そうね……。ないわね。もちろん、西園寺さんはルックスはそこそこいいけれど、私の好みではありませんもの」

 「好みって――、まゆりさんは好みで、話す相手を選ぶの?」

 「それより、美咲さんはなぜ、西園寺さんのことを聞くのかしら? 好きとかでないなら、何かあるの? 例えば――怪奇噺についてとか?」


 まゆりさんはこういったことに関しては、勘が鋭いので驚きます。

 そう、私が西園寺さんを気にしている理由は、怪奇噺に関係しているからです。

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