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アウトコレクター  作者: 一ノ瀬樹一
第一章 弁天堂美咲と泥人形
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弁天堂美咲と泥人形《マッドロイド》 01

 午前零時二十四分。

 約束したように、私は依頼主の土御門さえりさんの家の前に立っています。正確には、玄関の前で約束の時間、午前零時三十分になるのを待っているところです。


 私は、こういったシチュエーションの時に、決まって考えてしまうことがあります。みなさんも、経験があることでしょうが、お宅を訪問する際、五分前にお伺いする方が正しいのでしょうか?

 それとも、五分後に伺う方が正しいのでしょうか?


 何かの本で読んだのですが、本来は約束の時間よりも五分ぐらい遅れて行くのがマナーとして適しているそうです。時間より早く着いてしまうと、迎える側の準備が出来ていなかった場合、慌てさせてしまうからだそうです。

 しかし、この五分後訪問を実践したために、私は過去、苦い経験をしました。その経験を教訓にし、私は五分前でも五分後出もなく、約束の時間ジャストに訪問することを心掛けています。


 そのため、今も約束の時間になるのを待っているのです。


 それにしても……こんな深夜にかり出される、私の身にもなってほしいものです。これもすべて、黒柳迷斎くろやなぎ めいさいさんのせいです。


 確かに、さえりさんの置かれている状況を考えれば、一刻を争う事態なのでしょうが、私は私で、明日から始まるテストのことを考えると――早く帰ってテスト勉強をしたいのが本音です。


 それと、ひとつ不安なことがあります。それは……迷斎さんが、未だに姿を現さないことです。


 私は、心掛けのこともあり、ここに着いたのは今から十分前の午前零時十四分頃です。正直、迷斎さんよりも後から来たら、何を言われるか想像がついていたので、これでも遅いと思ったほどですが、ギリギリまでテスト勉強にしたかったので、こんな時間になってしまいました。


 何せ、明日は私の苦手な数学のテストがあるので……。


 などと考えるていると、時計の針は午前零時二十九分を指し、とりあえずは、一人でも伺うしかありません。

 深呼吸をし、覚悟を決めて、私がチャイムを押そうとした時です。


 ガチャ。


 目の前の扉が開きました。

 外から見ていましたが、玄関の灯りが点いていなかったので、突然のことに私はしりもちを着きそうなるのを必死にこらえました。


 開かれた扉の向こうには、暗がりの中でもはっきりとわかるほどに、蒼白い肌のさえりさんが立っていました。

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